8月23日、ロシア政府およびメディアは、ロシア北西部で墜落したジェット機の乗客乗員(19人全員が死亡)に、あの傭兵集団ワグネルの創設者・指導者エフゲニー・プリゴジン氏が入っていることを報じた。
これは撃墜または爆破と見られており、米シンクタンクは「間違いなくプーチン大統領の指示によるもの」と断定している。
しかしもちろん、シンクタンクの分析によるまでもなく、これがプーチン・ロシア名物の暗殺であることを直感しない人はいない。
プリゴジン氏の率いるワグネル軍がロシアに対して反乱し、しかしたった1日で反乱を止めて終息したのが今年6月24日~25日。
(⇒ 2023年6月25日記事:ワグネル反乱1日で収束-どっちらけ何がしたいんだコラ)
それからわずか2か月で、この有様。
なんかもう、不謹慎な言い方ではあるが、笑っちゃうほどロシア的である。
これがもしプーチンの仕業ではなかったとしても、そんなワケがないと百人中百人が思うのが、プーチンの人徳であり現代ロシアの国風となってしまっている。
もう国際社会も怒りや懸念の声を上げるどころか、「これがロシアの通常運転」と至って平静に受け止めていることだろう。
北朝鮮がミサイルを撃つのが普通であるように、ロシアはとにかく暗殺をする。
これはほとんど生物としての生態のようなものであって、だからどうしたと周りは慣れきってしまっている。
しかし思うに、自分がいずれこんなことになるだろうとは、プリゴジン氏も当然わかっていたはずである。
そうなると私だったら、何かプーチンに対して「策を仕掛けておく」くらいのことはしそうだ。
あのド迫力の「戦争屋」そのものの風貌だった(元料理人でもあった)プリゴジン氏――
彼もその仲間たちも、何にもせずに漫然と自分が殺される時を待っていたとは思い難い。
いや、案外そうなのだろうか。
いずれにしてもやはり、プーチン・ロシアは今日も通常運転であった。
しかしこれだけ暗殺を繰り返しやってのけるのに、軍隊による対ウクライナ戦争はうまく進まないのは皮肉である。
おそらくこんなことだから、ロシアでは秘密警察とか謀略機関の方が軍よりも「上」になってしまうのだろう。