民間軍事会社ワグネルの総帥プリゴジン氏が始めた対ロシア反乱「正義の行進」は、たった1日で収束した。
ワグネル軍は占拠地域から撤退し、プリゴジン氏はプーチン大統領から免罪を受けた上でベラルーシに出国し、ワグネル兵士はロシア軍と契約し直したそうである。
いやはや、大山鳴動して鼠一匹というか――
長州力なら「何がしたいんだコラ」と叫ぶだろうほどの「どっちらけ」ぶりだ。
ワグネル軍がロシア南部ロストフナドヌーの露軍司令部を占拠したと発表したのが、6月24日07:30頃(現地時間)。
それから「正義の行進」でモスクワ進軍を始め、一応はロシア正規軍と交戦もしたらしいが、その日の20:30頃には
「モスクワまで200キロにまで迫ったが、ロシアの人の血が流れる責任を自覚し、部隊を方向転換させる」
として兵を返した。
この間、約13時間。約半日。
ホントおまえいい加減にしろよ、と世界中で大勢の人が思っているに違いないほど、記録的短時間の「反乱」であった。
そして私は個人的に、つくづく思うのだが――
ほんと今のロシアって、何をやってもダメである。グダグダである。
この迷走ぶりは、まさに国辱・国恥もの……プーチンもプリゴジンも、つくづく男を下げたものだ。
もし私が「ロシアファン」「ロシア軍ファン」だったとしても、ホトホトもう愛想が尽きた。
別にロシア軍自体が(昔のイタリア軍みたいに)嘲笑的に弱い、などとまでは思わないが……
このグダグダぶりは、ほとんど最悪の場合のプロレス団体末期の姿である。
たぶんプーチンが天寿を全うしたとしても、ロシア人の間でさえたいした哀悼の念はないだろう。
いや、憎しみや「ざまぁ見ろ」でもなく、向けられるのはバカにした嗤いではないか。
世界的核大国を率いて、自分から隣国に戦争を仕掛けていながら――圧勝に決まっていると思われていながら――、こんなザマの連続である。
プーチンを現代のヒトラーになぞらえる向きも世間にはあるが、こんなのと一緒にされたらさすがにヒトラーも怒るだろう。
もしかするとプーチンは未来の世界史において、「ヒトラーになれなかった無能独裁者」として名を留めるのではないだろうか……