3月19日、ロシア国防省の発表によると――
ロシア軍は3月18日に極超音速ミサイル「キンジャール」を初めて使用し、ウクライナ西部の大規模武器貯蔵施設(ミサイルと航空機用弾薬)を破壊した、とのこと。
このキンジャールという「極超音速ミサイル」は、かねてからウワサの(ロシアの誇る)最新鋭兵器である。
それは攻撃機から空中発射し、射程は時速2000キロから3000キロ、マッハ10(つまり音速の10倍)の速さで飛行するため、迎撃はほぼ不可能とされる。
そんな超兵器ならさぞ値段は高く、配備数も少ないはずだが――
別に戦争は兵器価格の損得勘定ではないものの、それを武器貯蔵施設に打ち込むのは「牛刀をもって鶏を割く」ような話ではないか、という気もしてしまう。
そして何より思うのは、
「これをキエフに撃ち込まないのか、ゼレンスキー大統領を狙わないのか」
ということである。
もちろん、ゼレンスキーを狙って殺してしまえば彼が殉教者になってしまうとか、
そんなことしたらプーチン自身が同じようにピンポイント攻撃されるのが正当化されてしまう、
とか色んな理由があるのだろう。
しかしやっぱりそれらもひっくるめて、これはロシアにそこまでの思い切りがないということでもある。
ゼレンスキーを含めウクライナの戦争指導中枢を一気に破壊し、それで勝利しようというまでの度胸はないということではあるまいか。
(もしそうならば、戦術核も使う度胸はないのだろう。)
もしあくまでもロシア軍が地上戦・通常戦で勝とうとしているならば、ウクライナには勝機がある。
武器類は、小規模な貯蔵所に分散していればいいことである。
(もちろん、言うは易しであるが……)
そしてもし、キンジャールを使ってさえもロシア軍の苦戦が続くということになれば……
ロシア軍の威信は、もうどうしようもないほど下落してしまうだろう。