プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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非婚ノ国-前人未到の社会を作る日本人(と韓国人)

 12月29日、厚生労働省国立社会保障・人口問題研究所の発表に基づき、2020年時点の日本の50歳未婚率(生涯未婚率)は「男性28.25%・女性17.81%」となったことが集計された。

(⇒ 東京新聞 2022年12月29日記事:50歳未婚率が急上昇 20年は男性28%、女性17%)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/222725

(⇒ ワウコリア 2022年12月30日記事:「東京の50歳の男性3人に1人は未婚」=韓国報道)
https://www.wowkorea.jp/news/korea/2022/1230/10377600.html

(⇒ ライブドアニュース 2022年12月30日記事:実は「晩婚化」起きていない?「若者が若者のうちに結婚できない」深刻さ)
https://news.livedoor.com/article/detail/23462855/


 日本全体で、50歳になっても一度も結婚していない男性が3人に1人いる。

 そんな女性が5人に1人いる。

 こんなことを昔の人が聞いたら、日本は「不具者の国」になったと普通に思うだろう。

 病んだ国、滅びゆく国とも普通に思うはずである。

 いつの間にか日本はこんな国になり、世界に冠たる非婚大国――

 むかし言われた(異民族に征服されたことがないという意味の)「不征ノ国」ならぬ、「非婚ノ国」に変貌したのだ。

 
 しかも私の見るところ、この生涯未婚率にはまだ伸びる余地がある。

 これは100%私の印象論・肌感覚で、データも何もないのだが……

 たぶん男は半分くらい、即ち50%程度に達し、女の方は25%程度で頭打ちになるのではなかろうか。

 人間が結婚しない(できない)要因は、おおむね次のとおりだと思われる。

(1) 積極的に結婚したくない(1人でいる方が好き)

(2) そこまで結婚する気になれない

(3) 経済的要因(カネがない)

(4) そもそも結婚に向いてない(望みがない)

 このうち(1)と(3)はストレートにそのまんまなのだが、問題は(2)と(4)で、そこには無数の要因が含まれている。

 (2)はコスパ論とでも言えようが、何も金銭や労力のコスパだけでなく、配偶者との親戚づきあいや子どものPTA活動が嫌だとかいう、心理的コスパも含まれる。

 (4)については何をかいわんや、客観的に見て結婚すべきでない・結婚したら本人も相手も不幸にする、端的に外見が劣る、そんな人間がたくさんいるのは皆さんご存じのとおり。

 そして(1)から(4)を集計すると、男性の半分、女性の4分の1程度はこれに該当するというのは、あながち的外れな推測ではないだろう。
 

 日本が世界に先駆けて「超」高齢化社会に突入していることは、よく知られている。

 そして今度は――今すでにそうであるかもしれないとはいえ――日本は、人類史上誰も見たことのない「超」非婚化社会に突入する。

 それは今すでに男の3分の1が、将来的にはおそらく半分が一生結婚しないで――そのかなりの部分が一生セックスしないで――生涯を終えるという、昔の人には想像もつかない社会である。

 きっと昔の人は「江戸と大坂を日帰りできるようになる」とか「一つの街を一発の爆弾(大筒の玉)で破壊できるようになる」とかいうことは信じたろうが、こんな社会が現実になるとは到底思えなかっただろう。

 しかしある意味、これはいかにも日本らしい展開ではある。

 思えばアジアで近世まで続く封建制社会を維持したのは、日本だけであった。

 貴族ではなく武人(武士)が支配し、行政まで担う体制を築き上げたのは、日本だけであった。

 日本人は、特異な社会や風習を作り上げることについては、世界屈指のエキスパートだと言っていいかもしれない。

 ただ興味深いのは、今回はそんな日本に身近な伴走者がいることである。

 それは言わずと知れた韓国で、その未婚率は日本とほぼ並び、出生率に至っては1を切るという世界ぶっちぎりの低さを記録している。

 日本と韓国と言えば、インドとパキスタンには及ばないとしても、「仲の悪い国・嫌い合う国」のアジア代表みたいなものだ。

 その2国がこの分野では実にソックリな成り行きを見せているのだから、皮肉というか面白いというか……

 はたして日本と韓国(そしていずれ中国も?)には、非婚化を進ませる「東アジア的要因」というものがあるのかどうか、実に興味深いところである。