プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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日本出生率最低更新1.20-「家に帰ってまた家の仕事をする」への拒否は当然では

 6月5日、厚生労働省は昨年2023年の合計特殊出生率が過去最低を更新し1.20だったことを公表した。

 また婚姻数も47万4,717組で、戦後初めて50万組を割り込む結果となった。

 もちろんこれは、驚くような話ではない。

 出生率も婚姻数も減少していくのはとっくに予想済みであり常識でもあり、これからもまた毎年のように最低記録を更新するのは既にわかっていることである。

(⇒ 朝日新聞 2024年6月5日記事:出生数最低、背景に未婚化 専門家「思い切った対策をしない限り…」)

(⇒ 産経新聞 2024年6月5日記事:出生率過去最低の背景に経済不安 仕事と家庭の両立に課題 新たな少子化対策の効果に疑問)

 そしてこのブログでは、何度も書いてきたことだが――

 少子化の進行も未婚率の上昇も、決まって要因は「経済的苦境」「将来不安」とかが真っ先に採り上げられるのだが、私は本当に真っ先に採り上げるべき要因は別のものだと思っている。

 それに基づいて言うと、むしろ結婚して子どもを持つこと・持ちたいと願うことの方が異常――と言って悪ければ、変わり者――ということになる。

(⇒ 2024年2月27日記事:出生数8年連続減少-「恋愛・結婚・子育てする人は変わり者」の時代)


 だいたい「結婚し、家庭と子どもを持つ」とはどういうことだろうか?

 それは、「仕事して家に帰ったら、今度は家の仕事をする」ということである。

 子どもの世話は言うまでもなく仕事、それも日々我々が目にするネット記事などでは「大変な仕事」なのであり、

 配偶者と共に暮らすのは詰まるところ「配偶者と合わせる・調整する」ということに他ならず、これもまた仕事と呼ぶに不足するところはない。

 いやはや、仕事で疲れて家に帰ったら、今度は家の仕事がある――

 そんな生活をするのは真っ平御免、そんな生活に自ら進んで入っていくなんて考えられもしない、と思うことのどこに不思議があるだろう。


 思えば人間、仕事して家に帰ったら「寝ること」だけでも結構な時間を食うものだ。

 その睡眠時間を除けば、「自分のしたいこと」に使える時間はわずかなものである。

 その時間さえも家での仕事に奪われて、いったい何の人生か……

 と思うのは、それこそまともな人間の感性というものではあるまいか。

 そして実際、結婚適齢期や適齢期前の男女の過半数くらいは、そう感じているように思う。

 おそらく、もし「子どもを企業に注文して作ってもらう」式の人工出生を採用せず、あくまで従来どおりの天然出生に固執するとするならば――

 この少子化と未婚化の進行を逆転させる(少しでも現実的な)方策としては、「労働時間を劇的に削減する」ことしかないように思う。

 たとえば、1日の勤務時間を4時間にする――ドバイの公務員とかはそうらしいと評判だが――などして国民を「時間を持て余してヒマでヒマでしょうがない」状態にすれば、これは婚姻数も出生数も増加すると思うのだ。

 しかし当然、今後10年くらいでそんな社会改革が実現するなどということはない。

 私の予想では、日本の出生率は現在の韓国の(世界最低)0.7ポイント台にまでは落ち込むはずである。

 いや、それが0.5を切ったって別に驚きはしない。

 仕事して家に帰ってまた今度は家の仕事をするなんてことをやりたがる人は、10人に2~3人くらいの変わり者の少数派だとしか思えないからである。