プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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積水ハウス、引渡し直前マンションを解体-マンション鬼門の国立市?

 東京都国立市において積水ハウスが建築した10階建てマンション、それが入居者への引き渡し直前になって急転直下「解体処分」決定となったことは、世間を驚かせた。

 なんでもこのマンションの建築については「富士山が見えなくなる」など周辺住民の反対運動があり、それでも法令違反はないため積水ハウスは引き渡し直前までこぎつけたのだが――

 テレビ朝日の取材によると、それは積水ハウスの幹部が現地で眺望を確認してみて、

●やっぱりマンション近辺では日当たりの問題が起きている

●やっぱり富士山の眺望に大きな影響が出る

 ということがわかったからだという。

 はてさて、あなたはこれを美談だと思うだろうか、ズンドコ話だと思うだろうか――

 その見極めは非常に難しいと思うのだが、それについてもどう思われるだろうか。

 一面ではこれは、美談であり英断である。

 「エラい人が自分で状況を確かめ、自らの過ちを認め、改める」というのは、日本人の(日本人だけではないかもしれないが)大好きな美談の黄金パターンと言えるだろう。

 しかしまた一面では、

 「そんなことずっと前からわかったことだろ、ものすごいカネと労力を費やしたあげくに今更なのか」

 というズンドコ話とも言えるのだ。

 もっとも、ズンドコ話と言われるのがわかっててそれでも解体することにする――

 という国家意志ならぬ会社意志の決断ができるというのは、やはり英断と言うべきなのかもしれない。

 この積水ハウスの決断が企業イメージを高めるのか、それとも(大なる見込み違い・ミステークをしたとして)低めるのか、非常に興味深いところだ。


 ところでこのニュースを聞いたとき、こう思った人は多いはずである。

 「また国立市なのか、またマンション事件なのか」と……

 それというのも「国立市マンション訴訟」というのは、行政法の世界では全ての教科書に載っていると言っても過言ではない、超重要な超有名事件なのだ。

 そしてまた今回も、超異例なマンション事件が国立市で起こった。

 マンションが次々と建つ街なんて日本に百指に余るというのに、またよりによって国立市

 いったい国立市というのは、マンション業界にとって異様な鬼門なのだろうか。その種の地霊でも宿っているのか……
 
 そう思わざるを得ないほど、これはスゴい確率である。

 少なくとも法学部卒の社会人には――マンション・不動産業界にはそんな人が多そうだ――、国立市の名は再度深く脳裏に刻み込まれただろう。

 いよいよ都市開発業界やマンション業界の人たちは、国立市と聞けば身構えるという習性が板についてきそうである――