ウクライナ戦争と並び、現代世界のもう一つの重要な戦争であるイスラエルとハマスの戦争――
その2024年の戦場に、なんと中世の兵器が再登場した。
イスラエル軍があのトレビュシット(投石器)を使い、火の玉をレバノンへ投げ込んでいるというのである。
(⇒ CNN 2024年6月24日記事:イスラエル軍、投石機でレバノンに火球打ち込む 中世以来ほとんど使われない兵器投入)
写真を見るとホントにトレビュシットそのものだが、しかし中世のものに比べてずいぶんサイズは小さいようだ。
もちろんこれを大量に並べて敵軍・敵陣地に打ち込むというのではなく、あくまで局地的に「低木を燃やす」ために使っているという。
低木を燃やすことで敵が身を隠す場所をなくす、という目的なのだろう。
しかし、いかに小規模で敵軍への直接的な攻撃に用いられるのではなくとも、こうまでちゃんとしたトレビュシットが21世紀の戦場に再登場するというのはいささか衝撃的である。
思うに、低木を燃やしたいなら焼夷弾を打ち込むのが最も簡単そうではある。
だがそれは牛刀を持って鶏を裂くようなものとも言え、コスト的にもったいない。
おそらく今回のトレビュシットの射程はせいぜい500mくらいのものだろうが、しかし製作コストは焼夷弾1発よりずっと安いのだろう。
トレビュシットの組み立ては比較的簡単そうではあるし――もちろん私には作れないが――、焼夷弾を打ち出す簡便な歩兵用兵器というのも、案外見当たらないのかもしれない。
それにしても、映画『ランボー』シリーズを見た人なら、現代戦に「弓矢」が使われるのは予想できるはずである。
いや、いかにも特殊部隊なら(音もなく発射できるから)普通に使っていそうではある。
とはいえ少なくとも私は、本当に世界の特殊部隊で弓矢が普通に使われているという話は聞かない。
よって、弓矢どころかトレビュシットが現代の戦場に戻ってくるなんて思いつきもしなかった。
ただ、たとえば敵の立てこもる固定陣地に火の玉を打ち込むという使い方なら――
非常にローコストで調達できそうなトレビュシットは、もしかしたら(自動化・無人化できればなお)世界の戦場の常連兵器になれるのかもしれない……などと思うのである。