プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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近未来は男女の約半分が「生涯無子」-こんなもんじゃないのと思う感覚

 国立社会保障・人口問題研究所の最新推計値によると、2005年生まれの女性が50歳到達時、一度も子どもを持ったことのない人は最大42%、最少24.6%に上るという。 

 男性は女性より未婚率が高いので、これが最大50%程度になるとされる。

 2055年の日本ではだいたい男女の2人に1人が生涯無子、つまり(日本の場合は)2人に1人が生涯未婚、ということになるだろう。

(⇒ 日本経済新聞 2023年8月9日記事:「生涯子供なし」最大42% 現18歳女性の推計、欧米の2倍水準 男性は「2人に1人」も)

(⇒ Smart FLASH 2023年8月9日記事:18歳女性の42%が「生涯子供なし」の可能性…石破茂議員も危惧していた「少母化」の危機)


 しかしこれは、2055年まで待たねばならぬ数値だろうか。

 皆さんが周囲の状況を体感するに、今すでに――またはあと5年や10年以内に、こんな数字に到達しているのではないかと思わないだろうか。

 今回の推計では「最も楽観的な」数値でも、50歳の女性の4人に1人は子どもを持っていないことになる。

 こんな割合は今から数年後にでも楽々達成できるのでは、と多くの人は思うはずである。

 そしてまた、これは確かに驚くべき、前人未到の未婚少子化社会の到来ではあるが――

 しかし一方で「こんなもんじゃないの?」「思えばこれも普通なんじゃないか?」とも、皆さんは感じるはずである。

 男女の半分くらいは生涯結婚せず、子どもも持たない。
 
 逆に言えば、半分くらいは結婚して子どもを持つ。

 それはまあ、そんなもんじゃなかろうかと半ば納得する雰囲気は、既に今この時点で醸成されていると言うべきではあるまいか。
 
(⇒ 2023年7月26日記事:日本の人口減少は「まともな人が多い」から?-「家に帰ってまで仕事したくない」のは当然では)


 もうこの話、結婚して子どもを持つか持たないかという話は、かの有名な昔からの永遠の論争――

 「持ち家に住むべきか賃貸に住むべきか」と同列同種の話になっている気がする。

 いや、どちらかと言うと、「持たない」という方が優勢になってきている気がする。

 繰り返し書くことになるが……

 仕事を終えて家に帰ってきてまで家庭の「仕事」なんてしたくない、自分の時間を削りたくない、というのは、もはや普通の感覚であり一般常識みたいなものだ。

 自分の持つ理想の基準に満たない相手と妥協して結婚し子どもを成す、というのは、もはや人権侵害みたいなものだ。

 むしろそうでない社会の方が――今回の推計値は、欧米に対して2倍の水準らしいが――日本人にとっては異様で不思議で理解しがたいと感じられるのではなかろうか。

 仕事から家に帰って、貴重なる自分の時間を犠牲にして(男女とも)家事という仕事をまたする。

 そんなことをしてもいいと思える――ウソかマコトか、そう思えている――相手が、なぜか大半の人について見つかっている。出会えている。

 これは現代日本人の半分くらいにとって、ほとんど驚異的なことではないだろうか。

 もちろん(日本と同類の東アジア地域を除く)世界の人々や昔の日本人にとっては、そういう日本人の方がずっと驚異的に見えるだろうが……