プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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今度は子ども家庭庁、母子手帳に「父親はできることから」記述で小炎上-子育ては危険領域へ

 子ども家庭庁が母子手帳母子健康手帳)の記述例として、

 「お父さん『も』赤ちゃんとスキンシップをしっかりもち、おむつを替えたり、お風呂に入れたり、できることから始めましょう」

 との文章を掲載していたということで、小炎上したらしい。

 なんで母親が主で父親が従なのか、それが前提なのか、という話である。

 この子育て領域ではつい最近、広島県尾道市が妊婦へ配っていたチラシが炎上したことが記憶に新しい。

(⇒ ねとらぼ 2023年8月17日記事:父親の育児「できることから始めましょう」母子手帳の記述に批判の声 こども家庭庁「真摯に受け止めている」)

(⇒ 2023年7月25日記事:尾道市「先輩パパから妊婦へ」チラシ炎上-いらんことはするなかれ)


 こういったニュースが立て続けに流れてきて思わずにいられないのは、もう子育て領域というのはすっかり「危険領域」すなわちデンジャラス・ゾーン、地雷地帯になってしまったという感想である。

 下手に手を出すと、下手に何か書くと、たちまち「手ぐすね引いている」人たちにボコボコにされる分野だ、という印象である。

 これは「マスク警察」や「マナー警察」なんて言葉になぞらえると、「子育て警察」みたいなものだろうか。

 そしてもう一つ思うのは、こんなニュースを見ていると、まともな人間なら(男女を問わず)決して子育てなんかには手を出すまい――

 子育てなんてするハメには陥りたくない、と考えるのがごく当たり前の成り行きだろう、ということだ。

 子育てがそんなに大変なら、そんなに好き同士のはずの父と母が「対立」するような危険性を持つものなら、そんなにも「メンドクサイ」ものなら、そんなことはやりたくない。

 ただ考えなしのバカだけが、育児や出産や結婚なんてものをやりたがる。

 そして多くが案の定、「メンドクサイ苦労」をする身の上に陥ってしまう。

 ……普通の人間なら、間違いなくこういう信念が固まっていき、少なくとも懸念はするはずだろう。

(⇒ 2023年7月26日記事:日本の人口減少は「まともな人が多い」から?-「家に帰ってまで仕事したくない」のは当然では)


 昨今の(日本だけでなく世界中なのだが)出生率の低下や未婚率の上昇が、主として個人の経済状況が悪いからだという意見には、私はハッキリ懐疑的である。

 こんな危険領域に手を出すまい、立ち入りたくない、「子育てリスク」を犯したくないと思うのは、むしろ人間の健全な精神の現れである。

 というわけで、そう遠くない将来、日本の男女の未婚率が50%を超えたとしても、私はちっとも驚かない。

 ただ、そりゃそうだろうと思うだけである。

 逆に真に問うべきは、

 「あなたはそれでもなぜ子育てしたいのか、子育てする道を選んだのか、そんなのは『おかしいと思わないか』」――

 という疑問なのではないか――とさえ、あなたは思わないだろうか。