6月13日、政府は前から言っていた「異次元の少子化対策」として、「こども未来戦略方針」を発表した。
大きな目玉は児童手当の「所得制限の完全撤廃」で、合わせて増額もされる。
しかし案の定なことに、ネットでは批判続出である。
これは最初からわかりきったことであった。
(⇒ 読売新聞 2023年6月13日記事:児童手当の拡充は24年10月から実施…「こども未来戦略方針」、岸田首相が会見)
まず、「これが異次元なのか」という批判は必ずある。
しかし、本当に異次元的な対策を出して来たら、それはそれで空想的とか人権侵害だとかボロクソに批判されるのは目に見えている。
次に、最も多そうなのは
「少子化の原因は未婚化と少母化であって、それに何も触れていないのは的外れ」
という批判である。
しかし私は、いつも思うのだ。
じゃあそういう批判をしている人は、その少子化の真の原因だと自分が思っていることについて何か案を出せるのか、と。
私はこの問題については、政府に同情的である。
こんな少子化なんてものに対策を出さなきゃならないなんて、無理ゲーの一種だと思っている。
それに比べれば政府の一員じゃない人なんて、有名な有識者であっても気楽なものだ。
自分も対策なんて考えつきはしないし、考えついても世に問おうとはしないし、それでいて政府は的外れだと批判をしてりゃいいのである。
いったいあなたも、未婚化と少母化について対策を考えつくだろうか。
考えついたとして、それが有効だとか本当に実施されるとか、自分自身が思えるだろうか。
たとえば政府や自治体は、「選り好みを止めましょう」と広報で呼びかけるべきか。
母親年代の人口自体が少ないというのを、どうやったら解決できるか。
政府が未婚化と少母化への対策を打ち出そうとしないのは、そんなもん対策できないからではないか。
こういうのは政治家だの行政機関だのがどうこうできる範囲を超えている、と思わないか。
だから政府の少子化対策というのが「結婚できる人」「結婚してる人」に対する支援策だけになるのは、仕方のないことである。
それでは気が済まないという人は、だったら自分がぜひとも案を出すべきである。
私としては、「国営のAI婚活」というものを案として出す。
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しかし、もしこんなことが実現したって――
たとえスーパーAIがあなたのベストパートナーとなる人を確定したところで、あなたがそんな人と結婚したいと思わなければ――自分にとっての最低基準にどうしても達しないと思えば――、話はそれで終わりである。
それを説得するのが政府の仕事だとまで言う人は、いくらなんでもいないだろう。
そうなると、やはりどうしても子どもの数を増やさなければならないというのなら、「企業に発注しての我が子製造」とかいう話になるだろう。
ここまで行けば、確かに異次元の少子化対策と言える。
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しかしそれも嫌というなら、もう少子化問題は解決不能な問題である。
そんなことに労力を投入するのはスッパリ止めて、もっと他のことに資源と労力を使った方がずっと良い。
そしていずれ近いうち、日本人はそういう方向に舵を切るのではなかろうか。