国立社会保障・人口問題研究所が行った最新の調査によると――
「一生結婚するつもりはない」と回答した人(18歳から34歳の未婚男女)の割合は、男性17.3%・女性14.6%と、男女とも過去最高となったらしい。
「一生結婚するつもりはない」とは、なかなか強い意思表示である。
「決意」と言い換えた方がいいくらいで、もう「嫌婚派」と言ってもいいのではないだろうか。
ただそうは言っても裏返せば、85%くらいの人は結婚したい・結婚するかもしれないとは思っているわけで、これは現代社会では妥当な割合とも思える。
(⇒ 2022年6月14日記事:20代独身男子の4割はデート未経験ー「告白は迷惑、ナンパは精神異常」の時代)
さて、昨今の非婚化・少子化傾向の原因として最大のものと言われているのは、「経済的理由」である。
収入が低くカネがない人が多いから、結婚・恋愛・子育てなんてカネのかかることをやってる余裕はない、という流れだ。
そういう人が18歳から34歳までの15%くらいいるというのも、つまり15%くらいは恋愛を考えられないくらい貧困層であるというのも、あるいはそうかもしれないとは思わせる。
だがやっぱり、そうではないのではないか。
経済的理由よりは、何というか、心理的理由の方が大きいのではなかろうか。
その心理的理由というのを端的に二つ言うと、
「面倒くささ」と「現状を変えたくない」
というものではないか。
結婚も恋愛も子育ても面倒くさい、というのは現代日本人の多くの共感を得る考えだと思う。
その面倒くささをさらに遡れば、「今のこの生活を変えるのが億劫だ」ということになりそうだ。
自分の今のこの生活は、味気なく惨めで希望のないものかもしれない。
せめて恋愛にこそ踏み出せば、また別の人生が開けるのかもしれない。
しかしその、踏み出すことが億劫なのである。
まるで今のこの生活が愛しいかのように固着したく、離れがたく思うのである。
これは倒錯した異常者の心理のようだが、しかしおそらく、大勢の人に当てはまっている。
こういう心理・性格は「保守的」と分類されるのだろうが、なんだか「若い世代ほど保守政党を支持している」という現象に通じるところがありそうでもある。
しかし考えてみれば、いつの時代でも人間のほとんどはこんな風に保守的だったようにも思える。
それでも世の中は変わってきたのだから、いつの日かこの「嫌婚派」の増加も下げ止まる日が来る――
のだろうか。