プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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20代独身男子の4割はデート未経験ー「告白は迷惑、ナンパは精神異常」の時代

 つい先日、日本の「男性の4人に1人、女性の6人に1人は生涯未婚」であるとするニュースについて、記事を書いた。

(⇒ 2022年6月11日記事:「男女の4~6人に1人は生涯未婚」は妥当な水準ではないか説)


 それから間髪入れず本日、内閣府男女共同参画白書において、「20代で独身の男性の4割は、まだデートを経験したことがない」とのアンケート調査結果だったことが報じられた。

 ついでに言えば、20代の女性の約5割、男性の約7割が「配偶者や恋人がいない」と答えたそうだ。

(⇒ テレビ朝日 2022年6月14日記事:20代独身男性「4割がデート経験なし」内閣府の調査)


 このアンケートが(あらゆるアンケートの例に漏れず)「正直に・真面目に」答えられたものかはわからないが、しかし全然現実とは違うということもないのだろう。

 しかし私はこれについても、「男女の4~6人に1人は生涯未婚」ほどではないにしても、こうなっても不自然ではない比率だと思うのである。


 「なぜこうまで非婚化・少子化・恋愛離れが進むのか」というのは、日本の抱える問題の中でも最も重要で喫緊なものかもしれない。

 そしてまた、いくらでも原因が考えられ、そのどれもが正解の一翼を担っているという種類の問題でもある。(こういう問題は世の中に結構ある。)
 

 その原因の一つとして最有力視されているのが「経済的理由」、すなわち(特に男性の側が)若年層の低収入化なのであるが――

 しかし私としては、実は経済的な理由はそれほど順位が高くないと思っている。

 これは、以前もこのブログに書いたことであるが……

 端的に言って、あなたは誰かに告白されたら嬉しいだろうか。

 嬉しいどころか、迷惑ではないか。

 どうやって断ろうかと人を悩ませる、配慮の足りなすぎる迷惑行為だと思わないだろうか。

(⇒ 2018年12月21日記事:「告白されるのは迷惑だから、私も他人に告白しない」-「配慮の時代」で人は仙人を目指す)


 もう一つ例を挙げると、「ナンパ」というものがある。

 街で見知らぬ女性に声をかけ、お茶や遊びに誘うというものである。

 再び問う。あなたが女性だとして、こんなことをされて嬉しいと思うか。

 戸惑うどころか、不快で迷惑ではないか。

 そんなことをしてくる人間は、アタマのおかしい精神異常者とさえ思えないか。

 現代の女性にとってナンパで声をかけられるというのは、嬉しかったり「フン」と言って済ますものではなく、一種の恐怖体験になっていたとしても私は驚きはしない。

 ごく近い将来、ナンパが「事案」すなわち警察の安全・安心情報メールに載るようになったとしても、それは自然な流れに思える。

 
 そして、現代のまともな人間は、以上のことをよくわかっている。

 自分が告白されるのは、迷惑である。

 たまたま自分が前から大好きだった人であれば例外だが、そうでない告白は迷惑である。

 だからこそ、他人にも自分から告白しない。

 それが迷惑がられること、配慮を欠く行為とみなされることは、言うまでもなく自明だからだ。

 
 そして当然、ナンパなんてするはずがない。

 そんなことをする人間は、アタマのおかしい異常者の一種である。

 それこそ「付き合ってはいけない人」の類である。

 
 一言で言えば、現代の若い世代は急速に「道徳化」した。

 昔と違い、人への配慮ができるようになった。

 自分と人に迷惑をかけないというのは、現代日本人の最上級の道徳となった。

 自分のことが好きかどうかもわからない相手に好きだと告白するなんて、そんな反道徳的でリスキーな行為は「してはならないこと」なのである。


 もちろんこういう道徳下にあれば、日本の非婚化と少子化はさらに急速に進むだろう。

 それが民族の存亡の危機に至るのも、大いに考えられることだ。

 しかしそうなっても、それは「滅びの美学」というか、民族の本望みたいなものと言えるかもしれない。

 かつて「民法出でて忠孝滅ぶ」という言い方があったが、現代日本は「道徳守って国滅ぶ」みたいなことになるだろうか。

 だが、そうは言ってもやはりあなたも、「告白されたら迷惑」なのではないだろうか?