新潟県南部に「妻有」という地域があり、十日町市・津南町の2自治体で構成されている。
そこでは、「妻有新聞」というローカル紙が週1回発行されている。
こう言っては大変失礼だが、かなり田舎の地域であると察せられる。
しかしそんな地域で地元に根差したローカル紙が今でも発行されているのは、本当に素晴らしいことだと思う。
私はこういうことに詳しくないが、おそらく日本でも希少な例ではあるまいか。
そしてつい最近その新聞に、恐るべき――とも言うべき記事が掲載された。
なんとその地域では、40代男性の未婚率が40%近くになっているというのである。
ちなみに日本全体では、これが25%程度となる。
(⇒ 2022年10月7日記事:【妻有新聞】40代男性未婚4割迫る、人口減少深刻 2020年国勢調査調べ 出生数に直結、決め手欠く各自治体)
もうこうなっては、人口減少も当然のことだ。
たぶん21世紀半ばには、この地域は「地方消滅」状態になってしまうだろう。
いや、この地域だけではなく、日本中でそんなことになるのはほぼ確定的である。
そして日本は、ほとんど大都市だけに人口が集中する(古代ギリシアとはちょっと違うが)ポリス型国家に――
今風に言えばコンパクトシティ(?)型国家になるのだろう。
これは効率がいいというメリットはあるが、たとえば核攻撃には極めて脆弱なことになる。
核攻撃する方にとっては、少ない弾数で日本人を全滅させることができるということだ。
しかしそれはともかく、感じるのは――多くの人がすでに感じているはずだが――、
「やはり田舎に留まっていては結婚できないのではないか、出会いすらないのではないか」
ということである。
いくらネットで世界中の人と繋がれると言ったって、やはり結婚相手の「本命」といえば身近で接する人である。
職場か地域か、あるいは趣味の会などがその代表例(大部分)となる。
しかしそもそも人口の少ない田舎では、その身近に接する人が限られているのは言うまでもない。
そこに「これは」という人がいなければ、話はそこで終わってしまう。
趣味の会に参加すると言っても、田舎からそれに参加する時間とコストを考えれば、断念するか億劫になるのが普通だろう。
つまりもう、田舎に留まるのは、半分くらいの確率で「生涯未婚」になるのを選ぶのと同義なのではあるまいか。
そう思うと田舎に住む親の身としては、何が何でも息子や娘を田舎から都会へ出て行かせなければならないのではないか。
もちろんそうすると、田舎の人口の「絶滅」はますます進んでしまう。
また、都会に出たからと言って、結婚や出会いが確保できる保証は当然ない。
もはやどうやっても手詰まりなのだが、しかし――
もしこの未婚率の上昇を反転させる秘策があるとすれば、それはAI婚活の普及ではないかと思う。
理想的には国営で全国民を登録し、全国規模で個々人に最適な相手をマッチングさせるというものだ。
(⇒ 2022年7月11日記事:少子化・未婚化の解決策は「AI婚活」一択-従来型恋愛・結婚の終焉(上))
しかしもちろん、そんなことが実現するとは考えにくい。
(とはいえ、かつてあれほど反発を受けた「国民総背番号制」がマイナンバーという形で実現したのだから、世の中は何がどうなるかわからないが……)
ただ、「田舎に留まるのは(半分の確率で)生涯未婚を選ぶことである」というのが日本人の「常識」になれば、多少なりとも未婚率の改善は図れるかもしれない――
というのが、地方にとってははなはだ残酷な現実なのだろうか。