プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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韓国「異次元の少子化・非婚化」-非婚式・非婚手当の出現

 世界ぶっちぎり、2022年には前人未到出生率0.78という異次元の少子化局面に突入した韓国――

 その韓国では(驚くには当たらないと言うべきか)、積極的な「非婚主義」の拡大が見られるという。
 
 なんでも、「一生結婚しません」と宣言する結婚式ならぬ「非婚式」をやる若者が増え、
 
 それどころか結婚祝金と同水準の「非婚手当」を支給する企業も相次ぎ、

 ある大手百貨店では、結婚しないと表明した40歳以上の職員に対し、支援金・休暇5日間・“花輪”代わりの“観葉植物”までプレゼントしているという。

 しかもこれは単なるアピール用の制度ではなく、2022年9月の制度開始以降、実際に申請者が30人を超えているらしい。

(⇒ FNNプライムオンライン 2023年3月4日記事:日本より深刻…韓国“超少子化”で出生率0.78 背景に“非婚主義”拡大か 「非婚式」「非婚手当」とは?)


 いやはや、ものすごい「先進国」ぶりである。

 もう日本は、こういう面では完全に韓国に「負けて」いる。
 
 もし日本で非婚手当なんて出す企業が出てきたら、「国策に反する国賊企業」みたいな反応を浴びるのは容易に想像できる。

 そしてまた、一生独身で過ごすという決意・本気度の面でも……
 
 日本の若者が「非婚式」というのをやり、それが一人や二人ではなく社会的に広まるなんて、ちょっと想像できないだろう。

 日本の若者に広まりそうなのは、むしろ非婚式でなく二次元キャラとの結婚式ではあるまいか。

 こういう面で韓国人は、日本人よりはるかに意欲的で大胆で革新的と言える。

 これは確かに先進的でもあるし、社会に対する先進国型「民衆革命」運動みたいなものとも言えるだろうか。


 ところで、なぜ韓国人はここまで結婚したくなく、あるいは結婚を諦めるようになり、子どももせいぜい一人に限るようになったか。

 インターネットラジオでリスナー1800万人(大半が女性らしい)を誇るという放送作家クァク・ミンジ氏によると、それは女性が結婚したら育児・家事などで不公平に苦労するからだという。

 女性が今まで仕事で築いてきたキャリアなど、犠牲にしなければならないことが多すぎるからだという。

 一方、韓国では「結婚にあたり、男性側が新居を準備する慣習」というのがあるらしく、これがまた不動産価格の高騰により、男性側の(クリア不能レベルの)負担になってもいるようだ。

 それでも結婚して一児を儲けた家庭では、

「急速な利上げにより住宅ローンの支払いは当初の3倍に膨張」

「月収45万円の半分近くがローンに消える」

「他の家庭では英語幼稚園なども考えていて、自分たちも考慮しない訳にはいかない。英語幼稚園は月15万円くらいかかる」

 ということで2人目は諦めている、という状況らしい。


 いやあ、もう八方塞がりですね。

 しかしまぁ、月額15万円の英語幼稚園を「考慮せざるを得ない」のであれば、そんな金食い虫を2人も3人も養っておくわけにはいかないのは当然である(笑)

 そしてまた、もしそのたった一人の子がボンクラなどのハズレクジであったとすれば、それは目を覆いたくなるような惨事と言わざるを得ない。

 やっぱりこの、東アジアの家庭が「教育重武装で中世ヨーロッパの騎士のようによろめく」というのは、「歴史は繰り返す」の一例なのだろうか。

 この分では重装教育騎士の東アジア諸国は、もっと教育軽装の国々に(人数で?)圧倒されて滅び去るような気がするのだが、それは杞憂なのだろうか。

 私としては、国民全員に教育重装甲を施そうとするなんて、それだけで財政的に破綻すると思わずにいられないのだが。

 また仮にそれができたとして、世の中の仕事ってそこまで高度重度な教育が必要だとは思えないし、もっと軽装備の人たちの大群により重装騎士は打ち負かされるのはわかりきっていると思えるのだが……

 そしてもう一つ思うのが、「結婚にあたり、男性側が新居を準備する慣習」というやつについてである。

 これは借家でもいいようだが、基本的には、新居なるものが掘っ建て小屋程度で済んでいた旧時代の遺習ではなかろうか。

 またこれについて、女性の方は妥協したり自分でもカネを出すということにはなっていないのだろうか。

 まさかとは思うが、本当に「男のほうだけカネを出して用意する」のが常識なのだろうか。

 だとすれば、これは恐ろしい社会である。

 わざわざ「非婚式」をやって結婚しません宣言なんてするのも、それならば無理もないと思える。


 最後に、「女性にとって結婚は人生の墓場」論である。

 これは他ならぬ男性にとっても、大いに共感できるところではないか。

 男にとってさえ、そして大昔からでさえ、結婚は人生の墓場と言われてきた。
 
 ましてや現代の女性にとって、仕事の上にさらに、とんでもない金食い虫を生み育てる苦労を買って出ようなんて物好きがそうそういるわけもないではないか。

 そんなヒマや余裕が自分にあるか、今の生活の上に最低2人(配偶者と子1人)を積み増すことなど考えられるか、男性は全て「もし自分が女性だったら」と思ってもみるべきである。

 そしてまた、子を「月15万円の学習塾に通わせるのを考えざるを得ない」という世界へ参入したいか、そういう世界に入って気を揉みたいか……

 これは考えるまでもなく、「否」と答える人が大半だろう。

 
 これはみんな、そう考えているはずなのだが――

 結局のところ、現代の(特に東アジア先進国での)出生率急落・少子化・非婚化は、性選択・自然選択の一環である。
 
 身も蓋もないことを言えば、結婚と出産への意欲・能力(容姿や財力)・適性のある者のみが子孫を残し、そうでない者は淘汰される。

 まさに優勝劣敗・適者生存の世界であり、多くの人にとってそれは自らの絶滅期を意味する。

 東アジア先進国では、いわば人類再編期に入ったとでも言えようか。

 その再編が進んだとき、そこに現れるのはみんなが「優秀」なエリート人類集団なのか、それとも重装かつ少数過ぎて絶滅の一途をたどる運命であるのか……

 この実験の最先端を行く韓国からは、どうも目が離せそうもない。