プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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また新たなナスカの地上絵発見-「ナスカの地上絵、お地蔵さん」説

 快挙である。
 11月15日、日本IBM山形大学は、AIの活用でかの有名なペルーのナスカ台地を調査し、新たな地上絵を1点発見したと発表した。
 また、AIを使わわない手段で、新たに142点の地上絵を発見したことも発表した。

 このうちAI活用した1点は「全長5メートル」の人間が棍棒?を持っている姿で、この程度の大きさなら製作はかなり容易に思える。
 しかしAI活用しなかった142点(人、鳥、魚、猿、狐など)の中には、全長100メートル超のものもあり、内部で儀礼が行われていたことが分かったという。
 ナスカの地上絵は、ネッシーや雪男と並び、日本人の誰でも知っている「超常現象」の一例である。
(そう、これは超常現象の一つなのだ。少なくとも超常現象ファンにとっては……)

 その正体が何なのか、何の目的で作られたのか、どうやって作られたのかについて、これまでどれほど多くの説が出されてきたかわからない。
 中でも最もトンデモなのは、言うまでもなく
「宇宙人の乗り物の滑走路として作られた」
「あれは空から見ながらでなければ作れないので、宇宙人が作った」
 というものだろう。
 
 私が子どもの頃には既に、こういう説が氾濫していたが――
 子ども心にも、「宇宙人の乗り物(つまりUFO)って、滑走路が要るのか。その場から垂直に飛び立てるんじゃないのか」
 「なんで土を引っ掻いた(石を取り除いた)だけの滑走路にするのか。そんなの噴射とか衝撃波とかですぐ吹き飛んで使えなくなるんじゃないのか」
 と感じたものである。
 
 それよりはまだあり得そうで、しかもロマンに溢れているのは、「ナスカの古代人は熱気球を既に知っていて、それを使って上空から指図して描いた」という説だろう。
 確かに熱気球というのは、なぜもっと早く人類の誰かが考えつかなかったのか、と思うようなアイデアの一つではある。
(火に煽られた袋類などが宙を舞うというのは、何千年もの間に何万人もが自分の目で見ていたはずだ。)

 私もこれが本当であってほしいとは思うのだが――
 しかしながら、そんなにも有用な技術がなぜか伝わらず周辺民族にも伝播もしなかった、
 何よりも当のナスカの地上絵に熱気球を描いたものがいまだ見つからない以上は、やはり空想の域を出ない。
 
 さて、上記引用記事には実にサラッと書いてあるが……
 山形大学によると、B.C.100年からA.D.100年の間に描かれたというこの5メートルの人物画は、「道しるべ」として使われた可能性が高いという。
 ナスカの地上絵、道しるべ説――
 これは私は今まであまり聞いたことがなかったのだが、皆さんはいかがだろう。
 私がナスカの地上絵の正体について、これまで聞いた中で最も説得力があると思ったのは、「天空の神に見せるため」という説である。
 これは古代人の宗教心として、いかにもありそうな話である。
 もっとも、「じゃあ日本の巨大古墳だってそうじゃないのか」と言われそうだが……
 しかし本当に日本の巨大古墳にだって、「天空の神に見せるためあんなに巨大に作った」という要素は、あってもおかしくないと思う。
 
 だが山形大学は、少なくとも5メートルの人物画は道しるべの可能性が高い、と言っている。
 同時に100メートル超の画の中では、儀礼(祭祀)が行われていたことがわかった、とも言っている。
 つまりナスカの地上絵というのは、日本で言う「神社」「寺」ではなかろうか。
 よって小型の地上絵というのは、古代ナスカ人にとっての「ほこら」「お地蔵さん」ではなかろうか。
 かつて日本の村々には、その外縁あたりに「道祖神」と呼ばれる(しばしば男性器の形をした)石碑みたいなのが建てられていたそうである。
 今まで見つかった地上絵の数がいささか多すぎることも、
 しかもなお今回のように「新たな」地上絵が見つかったというニュースが近年頻繁に伝えられることも、
 どうもこの「地上絵=ナスカ人にとってのほこら・お地蔵さん」説を裏付けているように思えるのである。
 だが仮にこれが正しかったからと言って、別にナスカの地上絵の価値が落ちるわけではない。
 もし未来に日本人が滅亡したとして、その日本の故地から「ほこら」や「お地蔵さん」が多数発見されたとしたら、それはやっぱりとても有意義で価値のあることではなかろうか。