プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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皇帝プーチンとスポーツ貴族プルシェンコ-第二次ロシア革命はまだか?

 2月24日にロシアがウクライナに侵攻して、3月7日で11日になる。

 しかしロシア軍はいまだ首都キエフはおろか、「国境の町」とも言える第二の大都市ハリコフすら落とせていない。

 この戦前の予想をあまりに裏切るロシア軍の「弱さ」に、世界は瞠目しているようだ。

(とは言っても、それでもジワジワと国土を浸食してはいるが)


 欧米諸国は派兵こそしないもののウクライナに軍事物資を送ることは解禁し、また国際金融網から排除するなどロシアの孤立化を進めている。

 もちろんと言うべきかスポーツ界でも、ロシア(及びその子分国のベラルーシ)選手の参加禁止などが進んでいる。


 そんな中、2006トリノオリンピックでのフィギュアスケート金メダリストで「皇帝」と呼ばれるエフゲニー・プルシェンコ氏(39歳)は、

「私はプーチン大統領を支持する」

「ロシア選手の排除は差別」

「私はロシア人であることを誇りに思う」

などの“愛国的”ツイートを繰り返して、世界中から袋叩きにあっている。


 私は、プロシェンコ氏がプーチン大統領を支持することやこんなツイートをするのは、当たり前のことだと思っている。

 むしろ、支持しないとする方が人の道に外れているとさえ思う。

 なぜならプルシェンコ氏は、プーチンロシアの国家プロジェクト的な育成により金メダリストになったのであり、だからこそ国のヒーローとなり、大富豪となり、大豪邸に住めているからである。

 平たく言えば彼は、プーチンロシアのスポーツ貴族階級であり、

 真の皇帝プーチンの廷臣であり、

 プーチンに作られた子分と言ってもいいだろう。

 プーチンにしてみれば、こんなときに支持を表明してもらうために彼を育て、飼ってきたようなもの……

 ここでプーチンに反対したり沈黙したりしているようなら、それこそプロシェンコ氏には人の心がないことになろう。


 私はこれがロシアでなければ、スポーツと政治・戦争は無関係として、ロシア選手が国際大会に出場するのにも一理はあったと思う。

 しかしロシアの場合は、スポーツと政治は無関係どころではない、ベッタリである。

 国威発揚のために国家プロジェクトとして(つまり国のカネを投入して)エリートスポーツ選手を育成してきたのは、旧ソ連以来のロシアの伝統ではないか?

 これが哀れむべき勘違い、ロシア選手がメダルを取ったからと言ってそんなものはロシアの国威に何の関係もなく、それは選手個人の栄光であって彼や彼女を富ませるだけだ――

 というのは、先日の記事に書いた。

 

tairanaritoshi-2.hatenablog.com


 思うにロシアのスポーツ選手らは、特にプルシェンコほどの金メダリストは、こんなときこそ志願してウクライナの前線に赴くべきではないか。(まだ比較的若いのだし)

 それが自分らを製造し、富ませてくれた国家への恩返しというものではないか。

 この戦争でロシア兵の士気は異常に低いと伝えられるが、それも「国の誇り」のメダリストたちが戦陣に立つことにより、劇的回復するはずではないか。

 しかし、プルシェンコ氏らはそうはしないだろう。

 志願したとしても、どうせプーチンは止めるだろう。

 宣伝用貴族というのは、得てしてそういうものなのだ。


 ところで伝えられるところによると、プルシェンコ氏が大金持ちで大豪邸に住んでいるのなら当然だが――

 その親玉のプーチン大統領は、12兆円から20兆円台(!)という、世界一とも言われる莫大すぎる総資産を持っているという。

 翻ってロシア兵は、戦死しても12,000円しか遺族に支給されないとも聞く。

 これが本当なら、まさに途方もない格差社会である。

 もし私がロシア兵なら……

 いや、まともな感性を持つ普通のロシア兵なら、こう思わないではいられないだろう――

 オマエは氷の上をクルクル回って大豪邸、オレらは命を的に戦って1万2千円かよ、と。


 私がロシア兵ならば、革命を思わないではいられない。

 こんなことを聞けば、革命前夜だと思わずにはいられない。

 いったいロシア兵には、いやロシア将校には、

 プーチンというツァーリや、プルシェンコといったスポーツ貴族を吊したいとか革命を起こしたいとかいう人はいないのだろうか。

 そういう気持ちがないというのは、もう人間を辞めているとしか思いようがないのだが。

 思うに、打倒プーチンの「第二次ロシア革命」のときは迫っている。

 全世界が――ロシアの子分国と同類国を除いて――それを待ち望んでいると言っても間違いではない。
 
 世界に冠たる「革命の祖国」たるロシアの民や兵士に、そんな志がもうなくなっているとは、信じたくない気持ちなのだが……