プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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自民党はオリンピックと共に死ぬか

 ゴールデンウィーク序盤の5月2日、新型コロナ第4波は制御不能みたいになっている。

 この日の西村経済再生担当大臣の発言は、国民にパニックを生じさせてもおかしくないものであった。

 緊急事態宣言発令中の1都3県において、各知事に「商業施設への入場制限」を求めたほか、

 変異ウイルスの強い感染力について、

「屋外でマスクを付けていても感染が確認される事例の報告が相次いでいる」

 と述べたからである。

 これではもう、知事にお願いするどころか国が「経済戒厳令」「外出戒厳令」を発した方がいいんじゃないか、と誰もが思うところだ。

 そして変異株の感染力は確かに強いようで、国内のコロナ感染者は4月9日に50万人を超え、それから20日くらいで10万人も増加している。

 しかも屋外でマスクを付けていても感染するなら、企業活動なんてできた話じゃないというのが当然の成り行きだろう。


 だが国民は、それでも外出も経済活動も止められはしない。

 いや、もし「アレ」がなかったら、歯を食いしばって多くの人は耐えるし止めるかもしれない。

 しかし、とにかく自粛を呼びかける政府自体がアレをやるつもりでいるのだから、納得するわけがないのである。

 アレとはもちろん、東京オリンピックのことだ。

 7月下旬の開催予定日まであと3ヶ月を切っているが――

 こんな状態でオリンピックをやるというのは、まさに「狂気の沙汰」ではあるまいか。

 少なくとも、日本国民がそう感じるのは至極当然のことだろう。


 オリンピックを止めたら日本が世界に信義を失うとかアスリートのことを思えとか、賠償金みたいなものが生じるとか、もはやそんなこと圧倒的多数の日本国民には絶対どうでもよいことである。

 日本国民の心の中では、このオリンピックは史上最低のオリンピックとなることが確定済みと言って過言ではない。

 そう、ついにオリンピックともあろうものが「悪の権化」「悪の祭典」となるときが来たのである。

 なるほど、いざオリンピックが開催されれば、日本国民は手のひら返しするかもしれない。

 テレビで見るアスリートの熱戦に、その2週間くらいだけは熱狂するのかもしれない。

 だがその後、もしコロナがもっと拡散したら――

 たとえそれがオリンピックと関係なかったとしても、たとえそういうエビデンスが示されたとしても、やっぱり国民はオリンピックのせいだと思うのは確実ではあるまいか。

 これは政府にとって、すなわち菅政権と自民党にとって、賭けである。

 この賭に勝つには、オリンピック開催までにコロナ第4波が収まっていなければならない。

 かつ、第5波がオリンピック後に起こらないことにならなければならない。

 私なら、そしてあなたも、きっとそんな賭けはしない。    

 おそらく次に控える秋の衆院選で、自民党は大敗を喫すると思われる。

(⇒ 2021年4月25日記事:自民党選挙3連敗と「東京五輪と共に死す」の奈落)

 

 とはいえ、本当にコロナ変異株が「どうやったって感染する」ものなら――

 誰も選挙に行きたがらず、来るのは「何があっても自民党支持」「何があっても公明党支持」の岩盤支持層が大多数だとしたら、歴史的低投票率の中で自民党が辛勝する、という可能性もないわけではない。

 しかしたぶん、そうはならない。

 菅政権は倒れ、自民党は(一時的にでも)死に、まるでオリンピックと心中した形になる可能性は濃厚である。

 
 とはいえこんなこと、自民党だって簡単に予想する未来だと思うのだが――

 オリンピックの神通力は、それを打ち消すほど強いものだと感じているのだろうか。信じたいのだろうか。

 「こんなんでオリンピックどころじゃあるか」というのは、これこそが国民の総意だと簡単に感じられそうなものなのだが……