東京都知事選の常連、弁護士の宇都宮健児氏が呼びかけた「東京五輪開催中止を求めるオンライン署名」が、約32時間で10万筆を突破したという。
(⇒ スポニチアネックス 2021年5月6日記事:宇都宮健児氏 東京五輪開催中止呼び掛けた署名 32時間弱で10万筆突破)
誰でもわかっていると思うが、署名とは当てにならないものである。
「署名お願いしまーす」と家に訪ねてこられれば、
あるいは路上で署名を呼びかける人と目が合ってしまえば、
それを断る度胸のない人は夥しくいるものである。
世の中の署名というものに記された名のかなりの部分が、そういう「断れない」という理由で記されているのだろうことは、誰だって想像できる。
しかしこれがオンライン署名となると、話は違う。
それは明らかに自分の意志でなくては、署名なされないものである。
それが2日ちょっとで10万筆も集まったということは、それよりはるかに多い人数が潜在的に賛同していることをうかがわせるに充分だ。
しかしこうなると、逆に「東京五輪の開催を求めるオンライン署名」というのも発足してほしいものである。
その署名数で、通常の選挙よりさらに正確に民意が測れると思うのは、私だけだろうか……
とはいえこのブログで何度も言ってきたように、今の日本国民の民意は「東京五輪は中止すべきだ」が大多数を占めているに違いない。
こんな状況下でオリンピックなんてやってる場合か、と思うのが普通の人間の感性というものである。
私は数年前、現代は「スポーツバブル」の時代である、とブログで書いた。
我々は、「スポーツ貴族」が何千万円・何億円、それどころか1試合で何十億円と稼ぐというのを――
これだけ「格差」や「貧困」が話題・問題になっているはずだというのに、
批判するどころか「スゴイ」ことだと称賛し続けてきた。
しかし今、思いも寄らぬコロナ禍というショックのせいで、ついにバブルが弾けるときが来たのかもしれない。
もしそうだとしたら、私の予想よりは何十年も早い。
(私は22世紀になるまでには、スポーツバブルは弾けるだろうと思っている。)
冷静に考えてみれば誰しも思い当たるはずだが、
「世界で一番100メートル走が早い人」
「世界で一番泳ぐのが早い人」
というのは、はたしていったいスゴイのだろうか。
そういう人がいるのは、当たり前の話ではないか。
それを熱烈応援したり国の誇りだとかまで思うというのは、まるで小学生の世界ではないか。
もしかするとコロナ禍は、そういうことに日本人を「気づかせてくれた」のかもしれない。
オリンピックが「国民の敵」と思われる日がこんなに早く来るなどと、誰が予想したろうか。
(私も予想しなかった。ゴメンなさい。)
こう言っては何だが、国民の命や生活に比べれば、アスリートの夢や栄誉など吹けば飛ぶようなものである。
オリンピック中止になれば(スポンサー等への)違約金は日本政府が払わなければならないらしいが、その方がまだしもマシなのではないか。
私は別にスポーツ嫌いではないが、しかし今の日本人の大部分も普通にそう思っているはずである。
おそらくは政府自民党の人たちだって、そう思っている。
しかし悲しいかな、(国民にとっては不思議でしょうがないが)なぜか中止と言うことができない――
現政権は「オリンピックと共に死す」だろうと、思わざるを得ないゆえんである。