プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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コロナ収束感の日本と感染再拡大の日本以外-勝ち組はあざなえる縄のごとし

 なんだかもう日本では、新型コロナの感染は収束したかのごとくである。

 今ではもう、全国での新規感染者は100人程度になっている。

 死者となれば極微量、と言っていいほどだ。

 それなのにヨーロッパはコロナ第4波・第5波に見舞われ、ドイツでは11月25日時点でコロナ死者数が10万人を超えたという。
 
 (アメリカは77万、イギリスは14万、ロシアは26万、フランスは12万、イタリアは13万)


 これに対して日本は、1万8千人に留まっている。

 ごく客観的に素直に見て、日本はアメリカにもヨーロッパにもコロナ対応で「勝っている」としか言いようがない。

 勝っているという言い方が間違いなら、「運よく切り抜けている」と言い換えてもよい。

 よその国でもワクチン接種はもちろん行われているのだから、日本のワクチン接種が成功したからこんなに差が付いている、というのはあまり説得力がない気がする。

 さりとてどうして日本が成功しているのか感染急減しているのか、理由はウイルスの専門家にも定かでないようだ。

 東アジア人は新型コロナに対して強い、というファクターX論も、日本のすぐ隣の韓国では今も感染者が急増しているとのことだから、そこまで大きな要因ではない気もする。


 さて、ところで――

 新型コロナへの対応策やその成果については、これまで色んなメディアが色んなことを言ってきた。

 その大きな部分を占めるのが、

 「日本は外国を見習え。外国ではこんなことをしているのに日本はそれをやってない。

  日本がやっているのは見当外れのことばかり」

 というような、日本バッシングであった。

 ところがどっこい、今の時点ではまるで日本が「一人勝ち」のような有様である。

 もちろんまだ真の「結果」は出ていないし、いつ出るかわからないにしても――

 「政治は結果が全て」だと言うのなら、日本のコロナ対策の政治・政策は成功だったことにならないか。

 なぜそうなるのかはわからないにしても、とにかく結果が全てならそれは成功と言わざるを得ないのではないか。

 
 しかしみんな知っているとおり、メディア(とメディア人)の一部には、依然として「日本を褒めたくない」というバイアスが働いている。
 
 意地でも日本の対策が有効だったと言いたくない・思いたくない人は、まだまだたくさんいる。

 それはたぶん、そんなことをしたら「御用メディア」「翼賛メディア」「ネトウヨメディア」に堕ちてしまうという恐れから来るのだろう。

 私も「日本スゴい」的な話には飽き飽きしているし、鼻につくと思っている方ではあるが……

 しかし今の現状を見る限り、少なくとも日本のコロナ対策が――コロナ情勢が、と言い換えてもいいが――、他の世界よりずっとマシだということは認めないわけにはいかない。


 とはいえ、日本がこの面で一人勝ちしているからと言って、だから日本が没落への道から復活する、というわけでもないだろう。

 中国が(日本人の望みどおりに)混乱に陥れば、日本経済も混乱する。

 世界がコロナに痛めつけられれば、たとえ日本だけが健全でもやっぱり日本もダメージを受けずにはいられない。

 そしてまた、いくらコロナ死者を出そうと、それもその国の興隆を止めてしまうとも限らない。

 あの第一次大戦期のスペイン風邪では、世界中で何千万人の死者が出たが――
 
 それも今となっては、知らない人が普通なくらいの過去の歴史の1ページである。

 日本の(今のところの)コロナ一人勝ちが、日本にとってどういう結果をもたらすか、これはタイムトラベルして未来から見てみたいことの一つだろう。