プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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コロナ第三波とGoToトラベル-「国がOKと言ってるから」の感染力

 新型コロナウイルスの第三波が、日本列島を襲っている。

 11月18日には国内感染者が1日で約2200人となり、これまでの最多記録を更新した。

 その他、北海道をはじめ全国の至る地域で「過去最高の感染者数」を記録し、クラスターも次々発生している。

 さて、この原因(元凶)が、例の「GoToトラベル」政策にある――

 とは、たぶん衆目の一致するところだろう。

 私には、このGoToトラベルで実際どれだけの旅行移動があったものか、全然データを持っていない。

 「GoToトラベルがあったから旅行に出かけた人たち」の数は、おそらく政府も把握していない。

 だから、必ずしも「GoToトラベルが感染を広めた」とは、断言する気にならない。

 しかし一つ、断言する気になることがある。

 それは、

「GoToトラベルは、国民に『解禁モード』『解禁気分』を広めた」

 ということである。


 日本人は確かに、政府の言うことをよく聞く人種なのかもしれない。

 お上の言うことによく従い――

 いや、正確に言うと、

「お上を免罪符にして」

「お上をアリバイにして」

「お上をお墨付きにして」

「お上を後ろ盾にして」

 行動するのが、頭と身に染みついているのかもしれない。


 お上がGoToトラベルだ!と言ったから、旅行に出かける……

 そういう人はさほどいなかったかもしれないが、

 お上がGoToトラベルを呼びかけるんだから、

 もう外出してもいいだろう、

 もう出張してもいいだろう、

 もう多少の飲み会はいいだろう、

 もうサークル活動してもいいだろう

 もう三密はあまり気にしなくていいだろう……

 と、「お上のお墨付き」を得た心理状態になった人は、膨大な数に上るのではなかろうか。

 まさに、新型コロナ以上の感染力である。


 これはどうも、河野太郎大臣が「ハンコ廃止」を言い出したらアッという間に世の中が「ハンコは悪」の錦の御旗を掲げだしたという現象に、一脈通じるところがありそうである。

 今までもハンコは不合理だとみんな言いながら、それでもそれはグチみたいな扱いに過ぎなかったのに――

 お上の誰かがそれを大声で言い出した途端、まるでお上のお墨付きを得たかのように天下の公論となってしまう。

 どうも日本は(これも昔から言われていることだが)、やっぱり「下からの革命」には向いてないようである。

 あくまで上からの――「上」とされる誰かが言い出すことによる――革命しか、できないというかしたくないようである。

 たぶん日本は、世界の主要国のどこよりも(ヘタすると中国よりも)権威主義的国家だ、と言えるのではなかろうか。


 そしておそらく、ただ政府が「やっぱり家にいろ、外出するな」とソフトに言いさえすれば、この第三波は終息させることができると思われる。
 
 そうすれば大多数の権威主義的日本国民は、自発的に従ってくれるはずである。

 権威主義と言っても害ばかりではなく、使い方次第で世の中は簡単になる、という面も確かにあるのだ。

(それが「良い」ことなのかどうかは別として……)