日本では、(他の世界を差し置いて)新型コロナの感染者数が「壊滅的」と言っていいほど激減している。
それがなぜなのか、ウイルス専門家にもよくわからないらしい。
そして不思議と言えば、このコロナ禍なのに、「過去最高益」「過去最高売上」を記録する企業が続々と出てきている。
その過去最高益または過去最高売上を更新した企業を、ちょっと列挙してみれば――
●ソニー
●サンコー
●くら寿司
●集英社
●ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)
●東ソー
●トヨタ
●豊田通商
●TDK
●イオン
●米ネットフリックス
●独ポルシェ
……などなど、まさに「挙げればキリがない」と言っていいほどだ。
一方で、飲食店を中心にコロナ関連倒産は数多いはずなのだが――
それでも東京商工リサーチによると、2021年度上半期の倒産数(負債額1千万円以上)は2,937件で、過去50年で最低を記録したという。
これ、こんなことを言うメディアは全然ないのだが、もはや
「コロナ景気」
「コロナ経済効果」
と呼んでも過言ではないのではなかろうか。
少なくとも、こんなに毎日「過去最高益/売上を更新」とのニュースが流れるのを見ていると、そうとしか思えない。
神武景気や岩戸景気の頃もこうだったかと思うくらい、何だかやたら景気のいい話が多いのである。
しかしそうかと思えば、
「日本人の給与は過去30年間上がってない」
とかやたら言われるし、格差と貧困に苦しむ人のニュースもこれまた連日流れている。
たぶんこれが、今の日本の二極化を表しているのだろう。
勝ち組はますます勝ち、負け組はますます負ける(負けはしなくても、いつまでもウダツが上がらない)――
そういう社会構造が、いつの間にやらできてしまったようである。
たぶん歴史や経済の教科書には、「コロナ景気」という単語は今後も載らないだろう。
不謹慎と叩かれるからである。
しかしそれは同時に、もはや景気変動というものが「負け組」には無関係になった時代の到来を意味しているのかもしれない。
景気が良くなろうが悪くなろうが、もともと海の下にいる負け組や底辺層には「雲の上」の無関係な話になる……
何となく、中世にもそんなことはなかっただろうと思えるような社会だが――
しかしそれが、まぎれもない21世紀の日本の社会になるのだろうか。