プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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大阪万博「350億円」木造リング-経済大国最後の祭典パート2

 2025年の大阪・関西万国博覧会について、またまた批判殺到である。

 それというのも「世界最大の木造建築物」となる会場の木造リング(大屋根)が、350億円もかかることについてだ。

 なるほど、世界最大と言うからにはそれなりのカネがかかるのは想像できるが――

 しかし万博公式サイトのパース図を見る限り、そして素人目で見る限り、そんなに複雑な構造というわけでもない。

 むしろ簡単すぎるんじゃないかとさえ思う。

 これで350億円、しかも万博終了後は解体して民間に売却するという。

 こんな巨大なのを下手に残して維持費がかかり続けるよりははるかにマシ、と言われればそのとおりかもしれないが……

 しかしやはり、これは「建築版打ち上げ花火」じゃないかと思うのが、普通の庶民の感覚ではあるまいか。

(⇒ ハフポスト日本版 2023年11月8日記事:350億円のリングは必要?「世界最大級の無駄遣い」と批判相次ぐ⇒万博担当相「理念を示すシンボル」と説明)

(⇒ SmartFlash 2023年11月9日記事:大阪万博の350億円リング「日よけ、雨よけに大きな役割」自見担当相の発言に「マシな言い訳考えろ」集まる批判)

(⇒ 2025大阪万博公式サイト・プレスリリース:プレスリリース2022年7月13日:大阪・関西万博 大屋根(リング)の新パース図を公開)


 上記引用記事の中で最も目を剥くような文は、SmartFlashの中の

大阪万博では、当初、シンボル的な建物を設ける予定はなかった。

 だが、会場デザインを務める建築家の要求で、2020年12月に「リング」が加わり、350億円をつぎ込むことになった。」

 という部分である。

 これはもしかしたら、記事の書き方が「悪い」のかもしれない。

 しかしもし本当に「会場デザインを務める建築家の要求」でこの巨大リングの建設が新規追加されたのだとしたら、この建築家というのは恐るべき権力者だとしか言いようがない。

(当たり前だが公式サイトに名前が出ているので、誰でもこの名は確かめられる。)


 万博をデザインする建築家って、こうも凄まじい権力と発言力を持っているのだろうか。

 それとも、バックに誰か――建築業者とか――がいて、その代弁者・傀儡みたいなものなのだろうか。

 そしてまた、2020年12月から3年も経って今頃?この350億円リングが批判の的になるというのも、よくわからないタイミングではある。


 さて、このブログでは、2021年に開催された「2020東京オリンピック」――これは誤植ではない、と後世には語り継がなくてはならないだろう――をして「経済大国最後の祭典」と呼んできた。

 それに倣えば2025大阪万博は、「経済大国最後の祭典パート2」となろうか。

 別に、ほれ見たことかと言う気はないのだが……

 2020東京オリンピックを開催して以来、日本は良くなっただろうか。

 ビッグイベントを開けば国民は元気になって景気も社会も良くなる、という「イベント経済学」は正しかっただろうか。

 これを良くなったとか正しかったとか言うのは、世間からバカにされることに対する相当の勇気がいるのではないか。

(⇒ 2020年2月27日:「世界最大のスポーツ興行」東京五輪は新型コロナで中止? イベント経済学の答え合わせ)

(⇒ 2021年1月18日記事:「経済大国最後の祭典」東京オリンピック中止は日本の希望かもしれない)


 このたびの東京オリンピック大阪万博も、その根底にあるのは「夢よもう一度」という言葉である。リバイバル精神である。

 さらにその根底には、ビッグイベントをやれば「経済を回す起爆剤になる」というイベント経済学の理論?がある。

 そう、近年の日本の政治的経済学の真の主流は、アベノミクスでもスガノミクスでもキシダノミクスでもなく、名付けて言うなら「イベントノミクス」であった。

 2025年の日本が、今より良くなっていると予想する・期待する人はほとんどいないだろう。

 ましてや大阪万博によって日本が元気になり経済も上向く、なんて考える人は(経団連の中にさえ)ほぼいないだろう。

 よしんばその頃の日本が奇跡の復活を遂げていたとしても、それが大阪万博のおかげでないのは断言してもよい。

 大阪万博が終わり、世界最大の木造建造物たる巨大リングが解体されるとき――

 日本人はむしろ今度こそ骨身に染みて、経済大国最後の祭典が終わったことを実感するのではなかろうか。