プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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2020年、集客産業の壊滅と「新しい経済」の始まり

 新型コロナウイルスの世界的蔓延は、人類の経済を変えようとしている。

 日本の専門家会議は先日、「新しい生活様式」というのを国民に伝えた。

 それはつまり、「新しい経済」が始まることを意味する。

 新しい経済とは、リアルに客を集める産業が終わりを迎え、非リアルに客を集めることがいよいよ主力になるということなのだろう。

 5月5日(日本ではこどもの日)、アメリカのウォルト・ディズニー社が発表した2020年1月~3月の純利益は、前年同期比で「92%の減」の4億6千万ドルであった。

 一方で同社の放送部門は、2019年3月に21世紀フォックスを買収していたおかげで収益が伸び、会社のトータル売上高は21%増の180億900万ドル。

 しかしトータル営業利益は、58%減の6億3900万ドルであった。

 このような事情は、もちろん日本でも変わらない。

 要するに「リアル集客産業」のほぼ全てが、壊滅的な打撃を被ったのである。

 しかしやっぱりというべきか、ネット配信・ネット通販はその代わりに躍進した。

 amazon創業者のジェフ・ベゾス氏がこのコロナ禍だけで何兆円か資産を増やした、というのは、人口に膾炙している。

 ここで、「新しい生活様式」による「新しい経済」の始まりにより、お先真っ暗になる産業を思いつくままに挙げてみよう。


●各種イベント業(スポーツ興行、劇場・コンサート興行などなど)

●観光・旅客業

●ホテル業

●大規模量販店業(ただし、スーパーマーケット除く)

●冠婚葬祭業
 
●講演業

 そしてこれは「業」ではないが、いったい各種「大学受験」「資格試験」は、今後どうするのであろうか。

 また、よく行政などが開いている「説明会」やタウンミーティングなどは、今後どうするのであろうか。


 とにかく、一定の場所に「リアルに人を集める」ことに関わる産業は、少なくともこの2年間程度は以前のようには戻らない。

 そして2年間もあれば、これらの産業に属する企業があらかた壊滅するには充分である。

 また日本においては、さすがに大学新卒者も、それらの産業に就職しようとは思わないだろう。

 これだけでもう、これらの産業はお先真っ暗になってしまう。


 要するに日本も世界も、(ブラジルなどの例外はあるが……)ますます「人と接しない社会」に傾いてきている。

 いや、ほとんど一夜にして、それが「社会道徳」になってしまった。

 私はずいぶん以前からこのブログで、

「人類社会は、(それを他ならぬ人類個人個人が望むから)人と接しない方向に進む」

 だろう、と書いてきた。

tairanaritoshi-2.hatenablog.com


 しかしそれには、もう半世紀くらいはかかってもおかしくないと思ってきた。

 ところがどっこい、今回のコロナ禍で、アッという間にそれが世界的社会道徳になっちゃったのだ。

 やっぱり一個人の予想など、現実のダイナミックさの前には無力も同然である。

 新しい生活様式・新しい経済は、「人と接しない生活様式」「人と接しない経済」である。

 好むと好まざるに関わらず、我々はそれにアジャストしていかなくてはならないのである。

 そしてその新しい世界では、もちろん――

「人と接する(ことが多い)仕事」ほど、今よりもっと賤業視されてしまうのだろう……