プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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「東大差別」と「東大産業」-学歴という病は癒えない

 「東京大学」は、日本最高峰の大学かつ国内最強の学歴として、日本人の誰一人知らぬ者もない。

 しかし、それゆえに「逆差別」のターゲットにされる、ということもある。
 

toyokeizai.net


 上記引用記事で特にやり玉に挙げられているのは、もう4年も続いているという「さんまの東大方程式」という番組である。

 私は地上波テレビをほぼ見ない(見るのはスカパーとアマゾンプライムビデオだけ)ので――

 こんな番組があることは初めて知ったし、もちろん一度も見たことはない。

(笑いたければ笑われよ)


 しかし、一度も見なくても内容が推測できる番組というのは、あるものである。

 「さんまの東大方程式」という番組は「東大生を見世物・笑いもの・変わり者扱い」にする番組らしいが、

 クイズ番組でないバラエティ番組なんて、たぶんそんなものなのだろうとたちどころに思いつくものだ。

 しかし、いつも思うのだが――

 日本以外、たとえばアメリカでは、現役ハーバード大生をネタにこういう番組が流されているのだろうか。

 イギリスでは、オックスフォードやケンブリッジの現役学生を集めてこういう番組が作られているのだろうか。

 もしあるとしたら、それは視聴率が取れているのだろうか。

 いや、日本のテレビ局でさえ、ハーバード・オックスフォード・ケンブリッジの現役学生をこんな風には使わないのではないか。

 そして日本の視聴者も、彼らを変人扱いして笑いものにすることはないのではないか。

 そういう気にはならないのではないか。

 これもまた、日本人の持ついくつかの病癖の一つ――

「外国人だったらいいが、日本人だったらダメ」

「外国人なら嗤わないが、日本人だったら嗤う」 

 の現れに違いない。
 

tairanaritoshi-2.hatenablog.com


 さて、しかし――

 その一方で「東京大学」「東大」は、日本でも有数のステータスかつ「産業」だ、というのもハッキリした事実である。

 もしお暇なら、数え上げてみるといい。

 世の中には、いかに「東大」を謳う本や番組が溢れているか……

 それはそれは、「臆面もない」と言っていいほど夥しい数、世間に氾濫しまくっている。

 いくらなんでも、あなたがそれに気づかないはずはないだろう。

 ちょっと、本のタイトルの世界に限って、思いつくまま列挙してみよう。


●東大生の教える****

●東大生の書いた****

●東大生の読む****

●東大生が勧める****

●東大式****

●わが子を東大に****


 キリがないので止めるが、そもそも――

 上記引用記事を載せている東洋経済オンラインこそ、「東大記事」をこれでもかと載せているメディアの一つなのだ。

 我々の生活には、史上かつてないほど「東大」が溢れている。

 どこを見ても「東大」の文字がある、と言っても過言ではない。

 需要があるから供給があるのか、供給があるから需要があるのか、もはやよくわからなくなっているが……

 これが「産業」でなくて何なのか、とは、誰でも感じることだろう。


 そしてこの産業、「職場の東大卒をいびっている人間が、わが子には東大受験を目指させる」なんてことが普通に起こっていそうで、なかなか業の深い産業である。

 いや、産業と言うより、やはり病と言った方がいいだろうか。

 それとも産業病だろうか。


 それにしても、かつては「学歴無用論」というのが一世を風靡したこともあったのだが……

 21世紀も四半世紀にほど近い現在、「学歴」が無用どころかますます重要視されていることについて、

 ソニー創業者の盛田昭夫などは、あの世でどう思っているだろうか。