かつて日本は、「世界第2の経済大国」と呼ばれていた。(1968年から)
それが2010年に中国に抜かれて3位に陥落して久しい。
そして今度は、今年2023年中にもドイツに抜かれて4位陥落する可能性があるという。
(⇒ 産経新聞 2023年1月22日記事:日本のGDP、今年にもドイツに抜かれ4位転落の恐れ)
もっとも、このニュースを聞いても驚く人はそんなにいまい。
これだけ毎日「日本の将来は暗い」論が流されている昨今である。
いったいこの調子でいつまで世界第3位に留まれるものか、その報が飛び込んでくるのを「待っていた」人も多いはずだ。
いや、まだ日本が第3位であることの方が、むしろヘンなのではないかと思っている人も多いだろう。
たぶん日本人が「しょうがない」じゃなく本気で危機感を持つのは、「韓国に抜かれたとき」しかないのではないかと思われる(笑)
ところで上記引用記事にはサラッと書いてあるが、
「(ドイツの)時間当たりの労働生産性は日本より6割大きく」
だそうである。
そんなこと知ってたよという人もいようが、これは恐るべき格差ではないか。
太平洋戦争で日本が「生産力が何倍もある」アメリカに戦争を挑んだのは無謀の極みだ、とよく言われるが――
この労働生産性の格差が本当なら、ドイツに経済競争で勝とうなんてこともまた、無謀の極みなのではないか。
もっとも私は、この日本の衰退が危機的で破滅的なことだとはあまり思わない。
このブログでも何度も書いてきたことだが、それはいわゆる「正常化」の過程だろうと思うからである。
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
明治維新の1868年以来、日本はあまりにも調子が良すぎた。
いわばボーナスステージにいたようなものだが、こういうことは世界史ではよくあった。
むろんボーナスステージが終わることもよくあり、二度とそれは巡ってこない(だろう)ことも常態である。
中国北部から中央アジアにかけての遊牧騎馬民族はかつて世界を揺るがしたが、そんな時代はもう来ないだろう。
ポルトガルはかつて世界をリードする海上超大国だったが、もうヨーロッパ限定でさえ大国になることはないだろう。
イタリア(昔のローマ)が地中海を制することももうなさそうだし、
こんな例は枚挙にいとまがないほどだ。
よって日本もボーナスステージが終わり、それこそ「普通の国」に帰る時が来たのだろう。
歴史的に見て日本の常態とは、
「かなり貧しいが、東アジアでは有力な国。特に軍事的に」
くらいのものではなかったか。
栄枯盛衰は世の習いである。
いつまでも日本がフィリピンやインドネシアより大国であるなどと、そんなことを思う方がおかしいのである。
おそらく今後の日本にとって最も参考になる歴史は、スペインやポルトガルの「大航海時代以後」のそれだと考えられる。