2023年現在の日本で、諸悪の根源とされているものが2つある。
「昭和」と「儒教」の2つである。
まず、昭和から行こう。
いまや「昭和」は、遅れた悪しき伝統や存在を指す代名詞となった。
現代社会にアップデートできない人間は、「昭和脳」と呼ばれる。
古臭いと思えば「昭和だね」「昭和かよ」と言う人も、そんなに珍しくはないだろう。
昭和、平成を経て今は令和ということから考えると、二つ前の年号を指して「古臭い」の代名詞にするのは、さほどおかしくはないことなのかもしれない。
しかし、では昭和時代に古臭いことを指して「明治だね」「明治かよ」と一般に言われていたかと言えば、そんなことはなかったろう。
私は昭和後期の生まれであるが、どちらかと言えば古いもの・原始的なものを指すのに「昭和初期」という言葉が広く使われていたように思う。
(これは、私の周りだけかもしれない。)
それにしても思うのだが――
右翼団体の人とかは、こういう「昭和」への広範なディスりに対して何も思わないのだろうか。何もアクションを起こさないのだろうか。
4月29日は昭和天皇の誕生日で、今は「昭和の日」とされている。
日本史上でも稀にみる激動であった昭和時代に思いを馳せる、忘れない、という意味の祝日制定である。
それが今や、指弾されバカにされるべき対象である。
こんなことでいいのだろうか、と心配になってくるのは私だけだろうか。
「世の中で不当に発言力が強い」とさんざん言われている高齢者の方々は、これについて何も言わないのだろうか。
一人くらいはネット記事に「昭和ヘイトはもうやめよ」と書く人がいてもいいと思うのだが、なぜそんな人はいないのだろう。
弱きもの、汝の名は女なり――
という、現在ではもう死語というか死フレーズとなった言葉がある。
しかしそれがなくなった代わり、今度は
「悪しきもの、汝の名は昭和なり」
というフレーズが、人々の意識の中で一般化した。
はたして50年後には、人々は「令和かよ」「令和だね」と古臭い人間のことをバカにしているだろうか。
はたして「二つ前の年号をバカにする」のは、日本の新たな伝統になるだろうか。
それともこれは、やはり昭和という時代が「江戸時代」全部に匹敵するがごとき強烈な時代だったことの、裏返しみたいなものなのだろうか……