プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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岸田首相、ウクライナに「必勝しゃもじ」贈る……笑笑笑

 ウクライナの首都キーウを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した岸田首相――

 その席で岸田首相は、

●殺傷力のない装備品支援への拠出3,000万ドル(約40億円)

●エネルギー分野などの支援4.7億ドル(約600億円)

 を行うことを表明した。

 まず予想どおりというか、むしろ1,000億円にも行かないのが意外な内容である。

 だが、それはよい。

 そんなことより日本人の耳目を集めたのは、

うまい棒の箱に詰めて輸送された“必勝しゃもじ”をセレンスキー大統領に渡した」

 という事実である。

 その約50センチのしゃもじには、「必勝」「岸田文雄」と書かれていたという。

(⇒ 日刊スポーツ 2023年3月23日記事:地元広島の名産品「必勝しゃもじ」岸田首相がゼレンスキー大統領に贈呈 日露戦争勝利時の縁起物)


 ……いやあ、このニュースを聞いたとき一人で爆笑してしまったのは、私だけだろうか。

 これは戦火の渦中にあるウクライナ大統領への贈り物として、スゴいぶっとんだ感性ではなかろうか。

 なんかもう、まるきり日本の選挙そのものの感覚である。
 
 そりゃ、日本の政治家として選挙にのめり込んでいるのはわかるが――

 しかしあなたが首相だったら、戦争中の大統領へ「必勝」及び「自分の名前」を日本語で書いた――たぶん日本語だけ書いてあるのだろう――しゃもじをプレゼントしようなんて、はたして考えつくだろうか。

 考えつくとして、それを本当にやるだろうか。

 私がゼレンスキー大統領だったら、そんなもの受け取ったら一応「ありがとう」とは言う。

 しかし内心、「なんじゃこれ」と思うには違いない。

 たとえて言えばこれは、アフリカのどこかの国の元首から「わが国のお守りです」と木彫りの棒や板を渡されたようなものだろうか。

 そりゃ受け取りますけどね、しかしそれをどうするんですか、執務室に飾るんですか……


 そういえば日本では、「被災地に千羽鶴を送る」という、さんざんボロクソ言われ続けている「奇習」がある。

 今回の岸田首相「必勝しゃもじ」贈呈は、それに匹敵する奇行だと言っては言い過ぎか。

 首相がこんなもの他国の元首に贈るのだから、国民が千羽鶴を被災地に送るのも無理はないと言ってはコジツケか。

 もっとも岸田首相を弁護すれば、もう一つ贈った「宮島御砂焼(おすなやき)の折り鶴をモチーフにしたランプ」というのはまともである。

 ここでも折り鶴か、と思いはするが、こっちの方がはるかに国際的に通用しそうではないか。


 ところで私が前から思っていたのは、なぜ日本は他国の元首への贈呈品に「日本刀」を使わないのか、ということである。

 おそらくこれが、日本から個人への贈り物としては一番喜ばれるものだろう、と思うのは私だけだろうか。

 もちろん日本刀を贈るというのは、その国のセキュリティ上の関係でやや難しいのかもしれない。

 しかも戦争中の国の元首に日本刀という武器を贈るというのは、その戦争の相手国(ロシア)に対する挑発的なメッセージだと受け取られもするだろう。
 
 それでもやっぱり日本刀を贈るのは、本当に外国の――中国や韓国は除くが――「どんな元首にでも喜ばれる」可能性が最も高い日本製品であると思われる。

 特にヨーロッパ系の国に対しては、実に有効な贈り物ではなかろうか。

 それにしても、戦争中のウクライナ大統領に送るのが「しゃもじ」とは……

 岸田首相の出身である広島県民にとっては、これは普通の感覚なのだろうか。

 確かに、実に安価に済む贈り物であるというのは、認めなくてはならないが……