東アジアで突如として勃発した、新型コロナウイルスによる肺炎の感染……
その感染源はヘビだ、とも言われているが、中国湖北省の武漢市は1月23日、
●市外へ出る航空便や鉄道、市内全域のバスや地下鉄などの公共交通機関の運行を停止
●市民に「特別な事情がなければ武漢市を離れてはならない」との禁足令
を発令し、武漢市は事実上「封鎖」された。
(⇒ 読売新聞 2020年1月23日記事:人口1100万人の巨大都市・武漢、事実上の封鎖…公共交通機関の運行停止)
(⇒ ハフィントンポスト 2020年1月23日記事:武漢市、事実上の封鎖措置。中国メディア「大きな代償」「感動的な一幕」と市民を激励)
むろん形式は武漢市の決定といえど、それが中国共産党政権の決定であることは容易に推測できる。
中国メディアがこれを感動ヒューマンストーリーとして報じているというのも、中国共産党政権の意向に沿ったものだ――
と物事を斜めに見るのも、必ずしも的外れとは言えまい。
だが、しかし……
皆さんはこの報道を聞いて、思わなかっただろうか。
今度ばかりは、中国共産党の封鎖断行は正しい行いなのかもしれない、と。
武漢市の人口は1100万人、日本の東京圏にも匹敵する。
それを「封鎖」するなど、日本ではきっとできないことである。
もしかしたら他の西側諸国ではやるかもしれないが、この日本だけはできないだろう……と、日本人なら普通に感じるはずである。
あるいは、こんなパニック映画における戒厳令政府みたいなことを本当にやれる中国共産党王朝という国を、羨ましく思った人もいるかもしれない。
そう、ここにはパラドックスというか、疑念がある――
もしかしたら人権と自由を重視する西側民主主義陣営よりも、
この手の抑圧陣営の方が生き残れるし、もしかしたらより(結果的に)人類に貢献することになるのではないか、と。
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
歴史に「もし」はないと言われるが、ひょっとすると中国政府が今回のような封鎖断行をしなかった「もう一つの世界」では、
日本を含む東アジアはとんでもない打撃を被っていたかもしれなかったのである。
(あなたも感染死していたかもしれない。)
一党独裁の抑圧国家は、こういう時のために世界にとって「あった方がいい」かもしれない――
それは、人類にとって新たな道徳的難問とも言えるだろうか。