プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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中国共産党王朝はどこへ行く-統制超大国へのシンパシーという問題

 アフターコロナを睨んでのことかどうか知らないが、ここ数ヶ月の中国の「統制超大国」化がスゴい。

 まず、男性同性愛(いわゆるBL、ボーイズラブ)は「不良文化」だとして製作・販売が禁止された。

 ゲーム世界においてはネットの「投げ銭」を禁止、しかもネットゲームは実名登録制とされた。

 芸能面では韓国のK-POP推し活も規制され、

 これは以前からのことだが、アリババやTikTokなどの巨大テック企業への規制も強化。

 果ては学習塾も禁止(教育格差を是正するため)、

 あげくの果ては「民間企業が報道事業を行うことも禁止」案――
 
 即ち民間新聞・ネットニュースサイトの取材活動を禁止し、実況中継・ネットフォーラムの開催も禁止するという案さえ表明された。

 今年のノーベル平和賞がロシアとフィリピンの反体制ジャーナリストであったことから、その受賞も中国国内では報道禁止(中止)となった。


 いやあ、このうちのどれ一つとして、日本や欧米諸国でやったら大騒ぎになること請け合いである。

 というかそもそもやろうと言い出す人さえなく、たとえいてもたちまち大炎上となり、できもしないことばかりである。

 しかし中国がやると「こうなりました」と、まるで普通のニュースのように報道される。

 自由と民主主義と性的多様性が大事だと公然と言っている人たちは世界中にゴマンといるが、

 なぜにこれが「BLM(黒人の命も大事)運動」みたいな騒ぎにならないのか、

 なぜに世界中のセレブ有名人たちはこれについてツイッターに投稿しないのか、

 たとえしていても大きく報道されないのか、

 「女性差別イスラムだったら仕方ない」と同じく「自由の抑圧も中国だったら仕方ない」というのが世界の常識なのか、

 不思議でたまらない人は大勢いるはずである。

 
 しかし、こうも思うのである――

 もしかしたら、こうした中国の統制ぶりに「共感(シンパシー)」を感じる人は、意外に中国の外の世界には大勢いるのではなかろうか、と。

 特に「ボーイズラブ漫画「ネットの投げ銭」「ネットゲーム」「K-POP推し活」などは、日本の保守層(高齢層、と言ってもいいかもしれない)にとって、

 「そんなワケのわからん、よってけしからんものは日本でも規制すべきだ」

 と同意するところが大きい気がする。

 もっと言えば、YouTubeなんかも(YouTuberなんてのを不当に儲けさせるから)規制すべきだという人も多いだろう。


 あるいは教育格差是正のための学習塾の禁止ですら、共感する人は多いのではないか。

(確かに、学校があるのに塾に行かなきゃ希望大学に進学できないというのはオカシイはずだ、本当は……)


 いやいや、これだけ「マスゴミ」批判が大きくなっている今、「民間企業の報道事業禁止」さえも共感する人は少なくないのかもしれない。

 
 さて、ここまで来ると中国は、かつてのソ連の二番煎じ的な「自由と民主主義の敵」となってしまった。

 ただかつてのソ連と違い、今の中国は経済力が非常に強い。

 日本が没落の一途を辿っているかのようなのに比べ、中国の方は旭日昇天の勢いと言っても過言ではない。

 一方で今の中国がかつてのソ連に劣るのは、「共産主義」という思想の看板がないことである。

 いくら自国の国民に愛国教育を施しても、それには外に広がっていく力がない。他国の国民を感化させることができない。

 この点、現代中国の思想的な力は、イスラム勢力にすら劣ると言ってもいいだろう。

 たぶん今の中国が輸出できる思想と言えば、

 「国家による統制・抑圧は正しい。それが世のためになる」
 
 というものである。

 もちろんこれに感化され熱烈支持を捧げるのは、既に独裁者的な人や勢力が国民を統制・抑圧している国々に違いない。

 はたしてこの「統制は善」思想の普及が、自由主義・民主主義陣営を切り崩すことができるかどうか……

 もしかして意外に、勝ち目はそんなに薄くない、のだろうか……?