ついに、アメコミ界最大最高のヒーローで、世界に知らぬ者もない「スーパーマン」が、両性愛者であることをカミングアウトした。
DCコミックの最新刊では、スーパーマンは男性記者と恋に落ちるそうで、そのキスシーンや並んで座るシーンが先行発表されている。
その恋人の名は、「ジェイ・ナカムラ」。
ピンクのショートヘアでメガネをかけ、確かにやや女性的な(東洋的な?)男性ではある。
しかしこの先行公開画像、日本人なら誰でも思うと思うが、モロに日本の影響を受けまくりではあるまいか。
日本の女子の間で隆盛を極めると言われる、男性同性愛を好む腐女子らの同人誌「薄い本」――
これはそのうち1冊から抜粋したものです、と言われれば、何の疑念もなく信じてしまいそうではないか。
そして、なぜスーパーマンの同性恋人にナカムラという日系人が設定されたかと言えば、
それには婦女子の薄い本文化が、海を越えてアメコミ界にも影響したのではないかと考えるのは、はたして勘ぐりすぎであろうか。
それはともかく、アメリカのこと……
今回の日系人の「人選」に当たっては、マーケティングチームと法務・ジェンダーチームみたいなのが検討を重ねたはずである。
腐女子的な言葉を使えば、スーパーマンはもちろん「タチ」(男性役)の方である。
それに対する「ネコ」(女性役)の男性は、美しい白人男性を――
としたいところかもしれないが、しかしそれでは「人種の多様性規範」に反してしまう。
そこで肌の違う人種として、(ちょうど華奢な体格イメージで有名なことだし)東洋人をチョイスするものとする。
しかし中国系にすると、ちょうどつい最近中国は「BL(ボーイズラブ)禁止令」「ナヨナヨ男性禁止令」を出したばかりなので都合が悪い。
そこで、そういうことに目くじらを立てそうもない――腐女子文化の祖国でもあるし――日系人とする。
(たぶん以後、韓国系のネコ役男性キャラも増えてくるのではなかろうか。)
なぜ黒人のネコ役にしないかと言えば、おそらくそういう組み合わせは「過度にエロ」な印象を白人・黒人に抱かせるからだろうと思われる。
そしてもう一つ、まず間違いなく今後とも、「アラブ系(=イスラム系)」のネコ役キャラというのは、アメコミ界で起用されることはないだろう。
なぜかと言えば、アラブ世界から激怒的な反発を喰らうだろうからである。
さすがにいくら多様性を示したいからと言って、そこには限度があるからである。
それにしても世界は、
ジェンダーレスとLGBTと性の多様性を「新たな道徳」とする欧米圏と、
それらを拒否し、罰当たりな堕落したものとするイスラム圏&最近の中国、
という二つの陣営に分裂しているかのようだ。
世界的知名度を誇るスーパーヒーローたるスーパーマンが、ついに公式にバイセクシャルということになった。
これによりイスラム圏の人々は、ますますアメリカを「大悪魔」「堕落した不信心者」だという確信・憎悪・反感を強めることになるだろう。
20世紀の世界が、資本主義と共産主義の二つに分裂・対立していたとすれば――
21世紀の世界は、ジェンダーレスと反ジェンダーレスの二大陣営に分裂・対立する構造になるのだろうか。
こんなことを20世紀前半の各国首脳や国際政治学者たちに伝えたとしても、いったい誰がまともに受け取っただろうか……