プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

社会、ニュース、歴史、その他について日々思うことを書いていきます。【プロレス・格闘技編】はリンクからどうぞ。

AIはモデル女性を駆逐する?-本物女性は「作り物」に勝てるか

 AI画像で動画化された「架空の女性」のtiktokが百万回再生されるなど、「AIインフルエンサー」が人々の支持を集めていることについての記事が、書かれている。

(⇒ リアルサウンドテック 2023年6月4日記事:“実在しない”19歳港区女子のTikTokが100万回再生 増加する「AIインフルエンサー」の危険性と課題)

 もちろんと言うべきか、この「AI架空人物」は女性である。

 たぶん商用AI架空人物の9割は女性だろう。

 そして言うまでもなく、その全員が美人である。

 いかにルッキズムは悪いことだと言われようと、需要側にも供給側にも、AI画像でブスを作り求める動機は全くない。

 そんなものに商業的な価値がないのは、万人にわかりきった話だ。

 さて世の中ではSNS上のみならず、少年雑誌の表紙などのグラビアにも「AI架空美女・美少女」が活用されようとしている――と言われている。

 その利点は明らかで、AI作成の美女・美少女なら面倒な撮影もいらずスケジュール調整もなく、むろんギャラも安くつく。

 少なくとも「本人」がスキャンダルを起こす可能性もないわけで、なんだか思うに、いいことづくめのような気がするのだ。

 いったい本物の女性のグラビアアイドルは、AI製の美女美少女に勝てるのだろうか。

 ギャラはゼロ円(?)の上、AIならばいくらでも「男心のツボ」を狙ったいろんなタイプをいくらでも急速に生産できる。

 いずれグラビアアイドルという職業は、本当に消えてなくなっても意外ではない。


 そう言えばもう一つ思いつくのは、アダルトビデオの世界である。

 AV女優(セクシー女優)をAI画像で代替することなんて、人間なら誰でも瞬時に思いつく。

 それが極めて安価にたやすく実用化されるのは、そんなに先のことではないのではないか。

 そうなると待遇面・人道面・倫理面でいろいろ言われるAV女優という職業も、いずれなくなりそうである。

 本物の人間を使うのは「メンドクサイ」「コスト高」の一言に尽きようが、AI-AVならば何の気兼ねなしにいくらでも使える。

 それにしてもゲラビアアイドルにせよAV女優にせよ――

 たとえどんなに人間の仕事が機械に置き換えられたとしても、最後まで人間の仕事として残る部類のものだと思われてきたはずである。

 それがここにきて「真っ先に機会に取って代わられる」職業になろうとしているのだから、まさしく世の中、一寸先は闇だろう。


 ところでここまで来ると、ゲラビアアイドルやAV女優どころか――

 「本物の人間の女性」自体がAI美女美少女に勝てなくなるのではないか、と考えが進むのは当然である。

 本物の女性は、当然ながら美女美少女ばかりではない。この点だけでもう非常に不利だ。

 そして現時点以上に世の中が「理想の美女美少女」に囲まれ溢れることになれば、本物男性が本物女性を見る目は途方もなく厳しくなるのは論ずるまでもない。
 
 さらに重要なことに、AI美女美少女は決して「メンドクサイ」存在にならない。

 これほど不利でありながら、どうやったら本物女性がAI美女美少女に勝てるというのか、これは非常に難しい問題である。

 こうして当然のごとく、ますます男性は本物女性と恋愛・結婚したがらなくなっていく。

 さらにさらに、世は「推し活」を「いいこと」として(まさに)推す風潮に満ちている。

 これは、女性でも理解できるに違いないが――

 「近くの、触れようと思えば触れられる平凡な異性」より「はるか遠くの、自分と交際する可能性など全くない素敵な異性」にのめり込むというのは、もはやバカのやることとはみなされていない。

 むしろその方が健康的であるかのような雰囲気さえある。

 だったら、男性たちが本物女性には見向きもせず(むしろ嫌がって)架空の美女美少女に入れあげたとして、どうしておかしなことがあるだろう。

 さあ、いったいぜんたいこうした中、本物女性はどうやってAI美女美少女と競り合って本物男性をゲットできるか。

 全く傍観者的に言うが、今後10年で未婚率も出生率も、さらに劇的な低下を見せることだろう……