日本の少子高齢化を知らない人はいないが、それは韓国も同じかそれ以上である。
何と言っても韓国の2020年の出生率は1.0を切る0.84で、世界最低水準となった。
そして中国でも現在の成人独身者は2億4000万人、将来は4億人になると予想されているそうだ。
(⇒ 東方新報 2021年3月9日記事:結婚できない、結婚しない… 中国の将来は「4億人独身時代」に?)
少子化・高齢化・非婚化は、この「三つ巴で仲が悪い」北東アジア三国の、見事なまでの共通点である。
これはこの三国の国民が、本人たちはどう思おうと、結局は「似たもの同士」であることを強く示唆している。
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少子化・高齢化・非婚化の原因をもし一言で言えと言われれば、私であれば「人々の要求水準が上がったから」と答える。
みんな昔みたいに、そこらの(手近な)アンチャンやネーチャンじゃ、もうとても結婚する気にはならないのである。
たとえば私は、女性がよく言うとされる「相手の男性の最低限は、年収600万円」というような言葉を、現実離れしたものだとは思わない。
なぜなら世の中には、世の中のメディアには、年収ウン千万とかウン億円の人の話が溢れているからである。
野球選手の年俸が何千万とか何億とか、そういうのが普通のニュースや話題として流れているからである。
実際あなたはネットやテレビで、一日にいったいどれだけ「金持ちスゴイ」の「金持ち賛歌」を見ていることだろう。
これに比べれば年収400万円台の男性がカスに見えて、いや眼中に入らないことになって、何の不思議があるだろう。
一方の男性にしてみれば、世のメディアには美人と美少女が溢れている。
雑誌もネットも街の広告も、もう「どこを見ても、何を見ても、美女と美少女」と言っても過言ではない。
これに比べれば、そこらのフツーの女性なんて完全に対象外・ランク外と感じてしまうのが当然だろう。
そう、これこそが現代の「現実」である。「環境」である。
現代の現実とは、「どこを見ても美人ばかり・金持ちばかり」ということをいう。
年収600万円の男性が最低限だという女性も、
アイドル並みの容姿の女性でなきゃ結婚する気にならないという男性も、
けっして「現実離れ」しているわけではない。
逆に「現実に適応している」と言っていいほどである。
そしてこの状況は、日・中・韓でたぶん同じなのだ。
(そしてたぶん、今も北朝鮮だけがそういう「現実」にならないでいる。)
私は欧米の社会情勢に全く詳しくないが――
人々の異性に対する要求水準が「美人・美少女・金持ち」アゲのメディアによって、史上最高に上がっていることは間違いないと思っている。
おそらく「現実」がそういう風になっていないのは、イスラム圏やアフリカ諸国くらいだろうか。
そしておそらく、本気で少子化・高齢化・非婚化を食い止めようとするならば――
全てのメディアが申し合わせて「美人・美少女・金持ちアゲ」の記事・番組を差し止めることが必要かと思われる。
しかしもちろん、そういうことになりはしない。
だからもう北東アジア三国に限らず、世界中が少子化・高齢化・非婚化に向かうのは止められそうもない。
きっとその中で人口を維持・増殖させていくのは、「美人・美少女・金持ちアゲ」メディアのないイスラム圏だけということになるのだろう。