プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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「女の絵」経済というニューエコノミーとフェミニズム・ルッキズム

 大手VTuberグループ「にじさんじ」の運営社であるANYCOLORが6月、東証グロース市場に上場した。
 
 6月16日時点の時価総額は2714億円で、フジ・メディア・ホールディングス(フジテレビの持株会社)を50億円上回る。

 その代表の26歳男性は株式の46%を所有しているので、それだけで資産1200億円である。

(⇒ smartFLASH 2022年6月21日記事:VTuber事務所「にじさんじ」26歳代表は資産1200億円…ホリエモンも絶賛した「すごさ」の秘密は?)

 また、スマホゲームの「ウマ娘」を例にとれば、2022年の2月だけで82.4億円を売り上げている。

(「原神」は500億円程度で、別格である。)


 さて、VTuberにしろスマホゲームにしろ、これを一言で要約するとすれば「女の絵」ということになるだろう。

 少なくとも日本において、「女の絵」の重要性は疑う余地がない。

 これがどれだけ巨万の富と売上をもたらしているか、否定する者はバカである。

 もはや日本経済は、「女の絵」で支えられていると言ってもいいほどだ。

 かつて2000年前後には、景気循環なき「ニューエコノミ―」時代に突入したとか一部で言われていたものだが――

 今の日本こそ、「女の絵経済」というニューエコノミー時代に入っている。

 実際、高齢者はおろか40~50代以上の人にとっては、「こんなもん」がそんな巨大な産業になるなんて、全然理解できないのではなかろうか。

 
 そしてあなたは、思わないだろうか……

 この「女の絵」産業の華々しい隆盛を見ていると、その他の産業のなんとみすぼらしいことか、と。

 なんだか、

「まだ製造業で消耗してるの?」

「まだ物を作って生活してるの?」

「まだ物を配送して売り場で売って働いてるの?」

 とか思わないだろうか。

 まるで従来の「普通の仕事」というものが全て、時代遅れのショボい働き方に思えてくる――

 という風にならないのは、むしろ感性の鈍磨を示していまいか。

 
 そして、また――

 年収200万~300万円時代になってますます国民の貧困化が進んでいるとか、

 年収が低すぎて男女ともますます結婚できなくなっているとか、

 日本人は実は世界で最も「仕事を憎んでいる、嫌っている」とか言うが、

 それは突き詰めて言えば、その人たちが「女の絵で商売する才覚・才能のない、ショボい無能」だからではなかろうか、

 このニューエコノミーに対応する能力・適性に欠けているからではなかろうか、とさえ思えるのではないだろうか。


 さて、これらとはまた違う観点だが、フェミニズムの人たちやルッキズムへの批判者たちは、この「女の絵」ニューエコノミーの大隆盛をどう思っているのだろう。

 いわゆる「萌え絵」や美少女イラスト、特に胸を大きめに描いたイラストが「公共的機関・公共的な場」に現れるたび、決まって批判を浴びてきた。

(最近では「月曜日のたわわ」事件が記憶に新しい。)


 しかし「女の絵」経済・「女の絵」産業は、まさにそういうイラストで大繁栄を続けている。

 それこそネット上なんかでは、その手の女の絵ばっかりである。

 そんなイラストを製造・供給・大公開している民間企業にフェミニストルッキズム批判者が抗議したなんて話は、寡聞にして聞いたことがない。

 エロビデオにはダメだと言っても、それよりはるかに甚大な影響と収益を上げている「女の絵」産業構造については、何も言わないでいいのだろうか。

 あからさまにエロでなければ、そして公共機関がやるのでなければ、声を上げなくていいのだろうか。
 
 どう考えてもVTuberスマホゲームの美女美少女たちの方が、「女の性を商品化している」という批判にモロに当てはまっているのだが……

 それについて誰も何も言わないのは、触れようともしないのは、それがまさに「なんでそんなのが巨万の富を生むのか」理解の及ばない領域であるからだろうか。


 それにしても、日本は男女差別がひどいと言われながらも、昔から「女ならでは世の明けぬ国」とも言われてきた。

 そして今は、「女の絵」が経済を支える国になった。

 「モノづくりの国」なんて自称はもう恥ずかしくて言ってられない状態で、「女の絵」こそが日本を代表する産業である。

 しかしこれも、「浮世絵」が日本を代表する芸術となった流れを継ぐ、日本の伝統みたいなものなのだろうか……