プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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若者いや日本人の接客業離れ-まず飲食業に人が集まらず?

 最近の飲食業には、従業員(スタッフ)が集まらないという悩みがあるらしい。

 何でも今現在の有効求人倍率は正社員2倍、アルバイト4倍とのことで、まさに売り手市場とはこのことを言う。

 しかしそれでも、時給2000円を提示してもなお応募がないのだという。

(⇒ 2025年9月15日記事:時給2000円でも「応募ゼロ」 なぜ飲食業界には人が集まらないのか?)

 大方の人にとって、正社員はともかくとしてアルバイトがそんな状態だというのは意外なことだろう。

 なにせ飲食店でのバイトと言えば、大学生(及び高校生もか)のアルバイト先として定番中の定番だというイメージがある。

 今の大人たちの中には、まさしくそういう経験をした人がゴマンといるはずである。

 そしてまた、飲食店で飲み食いする客にとっては、その飲食店に「人が足りてない」実感は希薄でしかない。

 何と言っても、そこにはスタッフが(ともかくも)いるのだから……

 そこで「本当はもっとスタッフがいて、従ってもっとこの店は人が多くて儲かっているべきはず」などという想像は、ほとんどの人がしないものだ。

 おそらくこの飲食業界の求人難には、例の「少子化」が大きく作用しているのだろう。

 おそらく人知れず、若者の減少(中でも大学生、特に三大都市圏以外の地方での)はこうして産業界へ影響を及ぼしている。

 しかし私が思うに、それと同程度の影響をもたらしているものがある。

 それが一言で言えば、「若者の――いや日本人全体の――接客業離れ」というものである。

 
 このブログではそれこそ腐るほど、「人と接すること」が今の日本では危険視され忌避されるものとなってきたことを書いてきている。

 これについては、「人と接する」でブログ内検索されたい。

(⇒ 2023年5月10日記事:「接客トラブルで店員の子を自宅殺害未遂?-人々よ接客業になるなかれ)


 それもそのはずで、いやしくも日々のニュースをスマホやテレビで見ている者であれば、誰が人と接することの危険性とロクでもなさを感じ取らずにいられようか。

 大は殺人から小は(小さくはないと思うが)クレーマーやヘンな客・横暴客まで、全ては人と接することのリスクや恐ろしさをこれでもかと人に擦り込むものである。

 そんな中でよりにもよって接客業に就きたいなどと積極的に思う人というのは、もはや変人かよほど考えのないノーテンキな人と思われてしまっても仕方ないほどだ。

 もちろんこの世の職業や仕事で、接客及び人と接することがないものはほぼない。

 しかしまさにそれ故にこそ、日本人は労働自体をやりたくないと思っているのではなかろうか。

 やるにしても、できるだけ不特定多数と接する仕事は忌避するのではなかろうか。
 
 その一環が飲食業の求人難であるとするのは、はたしてコジツケなのだろうか。

 

 個人的な意見を言えば、これからの企業・産業に求められるのは、「いかにして従業員を人との接触から遠ざけるか」である。

 それができる企業・産業には働き手が集まり――つまり労働市場で人気が高まり――、そうでない企業は働き手不足がますます深刻となり、端的に言えば「誰がそんなところで働くか」になるはずである。

 人を集めるには、まず人を遠ざけよ。

 これはとんでもない奇をてらった逆説に見えるが、しかし――

 働き手を集めるには、働き手をできるだけ客や人間関係から遠ざけるよう努めよというのは、私には理に叶っていると思う。

 そういう仕事は、必ずや現代日本人に人気が出ると思うからである。
 
 そういう意味で「無人化」「非接触化」というのは、コストカットより労働力確保の面ではるかに重要な課題だと言えるだろう。