7月2日未明から、au(KDDI)の回線が全国的に通信障害に陥った。
そうなると案の定と言うべきか、各地のauショップに大勢の客が詰めかけたらしい。
もちろんその中には、「通信障害はいつ終わるの? 謝って済むレベルじゃねえだろ」とか店員に詰め寄る客もいたとのこと。
それにしても思うのであるが、そんなことケータイショップの店員に詰問したって質問したってどうにもならないのは、よほどのバカでもわかりそうなものである。
ショップ店員が通信障害について知ってるとかわかるとか、そんなわけがないのである。
しかしその「よほどのバカ」レベルの人は、我々が予想するよりはるかに世の中に多いらしい。
今でも日本人の民度は高いとか日本人の労働力の質は高いとか言われるが、そんなことホンマかいなと思わずにいられないではないか(笑)
いや、これはよほどのバカと言うより、「とにかく手近で怒りの対象を見つけてモノを言いたい人」と言うべきだろうか。
だとしたら、それはバカよりも深刻な問題である。
そして実際、日本人に深刻な影響をもたらしていると思われる。
端的に言ってその影響とは、「労働意欲の低下」「愛国心の低下」である。
今の日本人が(かつて世界で言われたような)ワーカホリックの働きバチどころか、世界で最も仕事を嫌っている――いや、憎んでまでいる部類の国民になったらしいことは、最近よく知られている。
しかしそれも無理はない――
いまや日本の労働者の大半を占めるサービス業の従事者は、常にクレームの脅威に晒されているからである。
ほとんど毎日、クレームの地雷原の中を歩いているような気分の人も多いのではなかろうか。
誰もがいつ何時、今回のauショップの店員の立場になるか知れないのだ。
そんな状況であれば、日本人が仕事が嫌いで労働を憎むようになるのは、むしろ当然で正常なことと言える。
そして、もう一つ――
現代日本人の愛国心が極めて低いこと、国のために戦おうとする気が最も低い国民であることも、今ではよく知られている。
これは占領軍GHQのウォー・ギルト・インフォメーションや戦後左翼教育がどうとか言うより、やはり労働意欲の低下と密接な関連があるのではなかろうか。
そりゃまともな人間なら、今回のクレームを浴びるauショップ店員のような目に遭えば、「こんな連中のために誰が戦うか」と思って当然である。
こういう連中の暮らすこういう社会を守ろうなどと、決して思わないのが普通である。
おそらく(ネット右翼がどんなにネット上で書き込みしようと)世の中の大多数の人は、
愛国心だの国のために戦おうだなんて心は、あまり人と接さない仕事をしている変わり者ないし幸運な人のみが持てる心、
一種の嗜好品だくらいに感じているのではなかろうか。
それどころかむしろ、「こんな国は社会は滅べばいい」とさえ感じている日本人は、けっこう多数に上るのではなかろうか……