プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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「反コロナ対策」ブラジル大統領は正しい…のかもしれない

 ブラジルのボルソナロ大統領は、「ブラジルのトランプ」と呼ばれているらしい。

 その彼は、今回の全世界的コロナ禍が始まったときから今に至るまで一貫して、「反コロナ対策」の急先鋒である。

 そして4月18日、彼は支持者らの前で

新型コロナウイルスには国民の70%が感染する。どうすることもできない」

「社会の崩壊を防ぐため、各州が独自に実施している商業規制などの隔離措置を緩和するよう求める」

「感染は今日でなければ来週、来月だ。これが現実だ」

「高齢者や健康に問題のある人はケアするべきだ。ただ、われわれは働かなければならない」

 と発言し、「外出制限」なんかせずに直ちに経済活動を再開するよう訴えた。


 ところ変わってアメリカでも、コロナ対策の外出制限・自宅待機に「反対する」決死的密集デモが、各州で発生している。

 しかも驚いたことに、これに対して(こっちは本物の)トランプ大統領が、ツイートで応援メッセージを送っているとのこと。

(⇒ ニューズウィーク日本版 2020年4月20日記事:コロナ抗議デモ拡大、トランプが反抗をけしかけ「ミシガンを解放せよ」)

 

 いやはや、ところ変われば品変わると言うが――

 これらは一般の日本人の目から見て、「バカな暴論・無知ゆえの危険行為」以外の何ものでもないように感じられる。


 しかし、である。

 本当に反コロナのアメリカ市民もトランプもボルソナロも、揃いも揃って大バカの蛮勇・有害連中だと言い切れるだろうか。

 本当のところ、これらの反コロナ行為をバカと断じる日本人も、実は思っているはずである……

 今のような外出自粛状態を、いつまでも続けられはしないと。

 2年どころか今年の年末まででさえ続けていられない、このままでは経済が大ダメージを受けて生活できなくなってしまう、と。 

 そう、コロナ蔓延の危険性が「完全になくなる」まで自粛するのは、何年も何年も自粛するということである。

 そしてむろん、そんなことなどできはしない。

 飲食業やホテル業・旅行業、そしてイベント業では、本当に今年の年末までに大量絶滅が起きるかもしれないのだ。


 ボルソナロ大統領の「戦略」は、要するに(国民を病気から隔離していないで)集団免疫を獲得させよう、というものである。

 いや、そういう遠大な目的と言うより、国民が引きこもって経済が回らなかったら、もうその時点で国が破滅してしまうという切羽詰まった現実があるのである。

 そのためには、「多少の」死亡者が出てもやむを得ない、というのがホンネだろう。

 日本流に言えばこれは、「肉を切らせて骨を断つ」「小の虫を殺して大の虫を生かす」というものだ。

 あるいは日本人からすれば、それは単に「開き直り」というだけかもしれない。

 そしてむろん、こんな「開き直り戦略」は、日本では決して取れない戦略である。

 その意味でボルソナロ大統領は、「後進国発展途上国)」の指導者で良かった、と言えるだろう。


 しかし、もしかしたら――

 ボルソナロ大統領もトランプ大統領アメリカ反コロナデモ参加者も、実は長い目で見れば正しいのかもしれない。

 彼らを「バカか」と見ている日本人こそ、いつまでも自粛と隔離を続けて社会的免疫を獲得できず、経済も立ちゆかなくなり、結局アメリカとブラジルに後れを取るのかもしれない。

 それに第一、「いつまでこの自粛を続けるのか」というのは、全日本人に突きつけられた大問題なのだ。

 少なくともボルソナロ大統領は、その答えを出してはいる。