4月7日夜、安倍首相はついに新型コロナ対策のための緊急事態宣言を発し、記者会見した。
その要旨(と私が思う部分)は、次のとおり。
●緊急事態宣言の対象範囲は、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県、大阪府・兵庫県、福岡県の1都1府5県
●その期間は、ゴールデンウイークが終わる5月6日までの1ヶ月間
なぜなら、「私たちの努力で」人と人との接触機会を最低7割・極力8割削減できれば、2週間後には感染者増加をピークアウトさせ減少に転じさせることができるから。
その効果を見る意味でも1ヶ月とした。
●現在の東京都では、感染者数が5日で2倍ペースで増加しており、このペースだと2週間後には1万人、1カ月後には8万人を超えることになる。
●電話・オンラインでの病院診療を(初診も含めて)解禁する。
●生活必需品の買い出しなどどうしても外出する場合は、密閉・密集・密接の『3密』を避けるよう徹底してほしい。
しかし、今まで通り外に出て散歩したり、ジョギングをしたりすることは何ら問題ない。
しかし、集会・イベント・飲み会・家族以外の多人数での会食も行わないでほしい。
●売上が激減した中堅・中小法人には200万円、個人事業主には100万円支給する。
固定資産税は減免する。
消費税や社会保険料の納付は1年間猶予し、延滞金もかけない。
●道路を封鎖するなどのロックアウトは決してしない。
専門家の意見では、そんな必要は全くないし、今の東京や大阪でも不要不急の外出を自粛して普通に生活している限り、感染リスクは決して高くない。
封鎖を実施して大混乱・感染拡大を招いた海外の都市とは全く状況が違う。
●しかし、地方へ「コロナ疎開」するなんてことは絶対するな。
……さて、この緊急事態宣言について、海外諸国からは「強制力がないなんてヌルい」、国内からは「出すのが遅い」と批判が湧き起こっているようである。
しかし、べつだん私は安倍首相や現政府を弁護しようとする動機もないのだが――
少なくともヨーロッパ諸国やアメリカからは、ヌルいだの何だの言われたくないものだとナチュラルに思う。
アンタらのところはいったいどんなザマなんだ、と思わずにいられないからである。
その辺は安倍首相も、「封鎖をやって却って感染拡大を招いた他の国の都市とは全然状況が違う」と、チクリと言いたくもなったのではなかろうか。
また、「出すのが遅い」との批判については――
これはもう、「政府・行政のやることは何でも遅い」とする「いつもの」批判パターンではないか、とやはり感じずにいられない。
あなたはいったい今まで、日本政府のやることが「早い」と評されたのをメディアで見たことがあるだろうか。
そんなに何でもかんでも「遅く」て、「早い」ことは一度もないのが真実だなどと信じられるだろうか。
そしてまた本当に宣言を出すのが早かったら早かったで、それはそれで「拙速だ。影響はどうなる」なんて批判が起こったに違いないのである。
しかもそんな批判をするのは、「遅い」と批判する人と全く同一人物ではなかろうか――
と、たぶんあなたも感じることだろう。
それにしても、
「このままだと1ヶ月後の東京都での感染者数は8万人を超える」
「それを防ぐには、人間同士の接触機会を最低7割・極力8割削減」
しなければならないというのは、強烈なメッセージだ。
オリンピック施設を改修して感染者の受入施設にする予定もあると言うが、
これはまさに「戦争」をイメージさせるとともに、やっぱり「オリンピックどころじゃない」という思いを強くさせる。
そして、ハッキリ言って普通なら、「最低7割の接触減」というのは無謀な目標として嘲笑して然るべき数値である。
外出禁止令や戒厳令を出すならともかく、こんな数値が「要請」だけで達成可能とは思いがたい。
逆に言えばこれは、(緊急事態宣言地区内の)日本人が試されている、とも言えるだろう。
もしこれが成功して感染者数を減少に転じさせられれば、外国の批判も見返すことができるだろう。
そして、仕事や買い出しは別として――
花見だの会食だのナントカ会だの単なる友人との物見遊山や遊行など、「不要不急の外出」を1ヶ月しないことくらいは、確かにそんなに難しいことではないのだ。
私としては、今回の緊急事態宣言の内容は、まずまず穏当で妥当なものではないかと思う。
(発出時期については、良いか悪いかたぶん検証もできない。)
突然降って湧いたこの国難を、「極力家に閉じこもること」で乗り切れるなら、それはむしろヨソの国よりよっぽど安くつくのではあるまいか。