プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

社会、ニュース、歴史、その他について日々思うことを書いていきます。【プロレス・格闘技編】はリンクからどうぞ。

カナダは性犯罪者を“去勢”する…について人権派は何を思う?

 「世界的有名歌手」であるクリス(ウー・イーファン 33歳)が、中国の裁判所で強姦罪・集団わいせつ罪で懲役13年の有罪判決を受けた。

 刑期を終えた後は国籍のあるカナダへ送還され、化学的方法で“去勢”が行われる見通しだという。

(⇒ FRIDAYデジタル 2024年2月1日記事:「重大犯罪者」として去勢へ…女性30人以上を性的暴行「世界が注目の超人気歌手」許されざる犯行手口)


 クリスは中国系カナダ人かつ韓国の男性アイドルグループ元メンバー・俳優である。

 そして私は例によってと言うべきか、この「世界的有名歌手」の名を全く知らない。さっき初めて知った。

 これはたぶん、多くの日本人がそうだと思う。

 しかしそれはともかく改めて注目に値するのは、カナダでは性犯罪者に去勢が行われるという点である。

 カナダと言えば、言うまでもなくG7(先進7か国)の一員。

 そのG7の一角で、化学的だろうと何だろうと人間への肉体的な去勢処分が行われている。

 これについて、何か言うことのあるべき人は日本に大勢いるのではないか。

 その代表的なのは、「同性婚を認めてないのはG7の中で日本だけだから、日本も認めるべきだ」という人たちである。

(⇒ 2023年2月6日記事:LGBTQと同性婚の容認は21世紀の脱亜入欧? 福沢諭吉は正しかった?)

(⇒ 2023年10月24日記事:日本、G7イスラエル支持声明に唯一参加せず…を日本国民は支持するだろう)


 改めて断っておくと、別に私は同性婚を認めることに反対ではない。別に認めたっていいと思う。

 そして確かに今のところ、「性犯罪者に去勢処分していないのは日本だけ」にはなっていない。

 しかしあの(日本人にとってはなぜか「意識高い系」の国のイメージがある)カナダが、去勢処分をやっている。

 私にはあのカナダがするのなら、G7の他の国も――日本を除いて――やるようになったとしても全然不思議には思えない。

 もし将来「性犯罪者に去勢処分していないのは日本だけ」の状態になったとき、「やってないのは日本だけ」派の人たちは「日本も去勢処分を導入すべきだ」と言うだろうか。

 どうも言いそうにない、と感じるのは私だけではないだろう。


 そしてまた、このカナダが去勢処分を実施していることについて、ぜひ日本の憲法学者・刑法学者に意見を聞いてみたいところだ。

(と言うか、マスコミは聞くべきではないかと思う。)

 率直に言って、こういう「他国ではどうしているか、どうなっているか、憲法の観点から考えるとどうなのか」について何の発言もしなければ求められても答えない、というのは「逃げ」ではないか――

 と、あなたは思われないだろうか。

(⇒ 2024年1月17日記事:スゴい憲法-北朝鮮、南北統一をやめ韓国を第1敵国へ…と憲法に書くつもり?)


 最後にまた思うのだが、なぜ日本の政治家というのは(よほど右派と見なされている人ですら)憲法改正は唱えても刑法改正はほとんど唱えないのだろうか。

 振り込め詐欺犯や迷惑メール配信者への重罰化とか、

 少年法の廃止や対象年齢引き下げとか、

 あるいは性犯罪者への去勢処分やGPSの埋め込みとか、

 強く主張しさえすれば簡単に注目と支持を集められそうなことが刑罰分野には無数にあるだろうに、と素人ながら思うのである。

 あと、人権派弁護士を筆頭とするあらゆる分野における「人権重視」自任者は、このカナダにおける性犯罪者への去勢処分ということについて、何か言うことがあるべきではないか。

 少なくとも、自分自身の心の中ではどう思っているか、意見を決めておく必要はあるのではないか。

 たとえば、「カナダは間違っている」とでもいうような……

 仮に「アメリカは間違っている、おかしい」とは簡単に言えても、カナダについてはそう言いにくい・ためらうところがあるなんてことがあれば、それはその人の心に重大な「おかしい」ところがあるのではあるまいか。

 そしてもちろん、日本でも性犯罪者への去勢処分を導入するのか絶対にダメだと反対するかも、意見を決めておかねばならない。

 なぜカナダでやられていることを、日本ではやってはいけないのかという理屈付けもまた同様である。