ハマスの突然の大規模奇襲攻撃で始まった、イスラエルとハマスの「第5次中東戦争」前夜の今――
その10月22日、G7のうち日本を除くアメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・カナダの6か国は、イスラエルの自衛権を支持する共同声明を発表した。
ただしその声明の中では、イスラエルに対して民間人保護を含む国際人道法を順守するようにも要請している。
いちおうは、一方的に支持するわけではないという言い訳(?)を付した格好だ。
さて、この中でただ一国、日本だけは不参加だが――
その理由として松野博一官房長官は23日、それは「他の6か国は誘拐・行方不明者などの犠牲者が出ているが、日本人の被害者はないからだ」と説明した。
だったら一人でも日本人の被害者が出ていたら参加してたのか、と誰しも聞きたくなるところだが……
実のところ日本国民のほとんどは、この共同声明への不参加に賛成だろう。
なぜなら、こんな中東のアラブvsユダヤの永久戦争に関わりを持ちたくないからである。
しかも幸いに、(原油輸入ルートの安否などを除けば)実際に日本は関係ないからである。
G7の日本以外の6か国というのは、昔風に言えば全て白人国。
そして白人国は、今までの歴史的いきさつにより、ユダヤ人を悪者扱いするわけにはいかない。
ユダヤ人を非難しようものならそれ即ちナチスであり、ナチス認定されることこそ白人国が最も避けたいことに違いない。
その一方、日本人でパレスチナ問題に関心のある人はごく限られているだろうが――
その興味のある人の中で「本心のアンケート」を取ってみれば、おそらく「パレスチナ支持・イスラエル非難」の人の方がずっと多いのではなかろうか。
それは決して反ユダヤのナチス支持というのではなく、むろん旧日本赤軍のファンだというのでもなく――
単に「2000年前に住んでたからと言って、今になってその2000年間に住んでた人らを追い出して自分らの国を作る」というのは、やっぱり無理筋じゃないかと普通に感じるからだろう。
ところで私が(意地悪にも?)気になるのは、例の「****を認めてないのはG7(または先進国)で日本だけ、だから日本はダメで遅れている」という言い方である。
これは最近では、「同性婚を認めてないのはG7で日本だけ」というフレーズで、ずいぶん世間にも普及しただろう。
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
では、それでは、このたびはまさに「イスラエルの自衛権を支持する声明に参加しなかったのはG7で日本だけ」だったのだから、日本はやっぱりダメで遅れているのだろうか。
「G7の中でこれこれをやってないのは日本だけ、だから日本はダメ」と言っている人は、こういうときこそそう言わなければならない義務があるのではないか。
G7の中で日本だけ(日本人が被害に遭ってないからと言って)イスラエルを支持すると表明しないのは、実にけしからんことではないか。
それなのにそう言わないのは、とどのつまりは「G7の日本以外の国がやっているからと言って、必ずしも日本もしなくちゃいけないということはない」と認めているのと同じである。
そしてほとんど全ての日本人は実際に、そういう風に認めているのではないか。
そう、「G6がみんなやっても、日本だけはやらない」ことがあっていいと、日本人は明らかに支持している。
日本ではSNSの上でさえ、「G7の中でイスラエル支持を表明してないのは日本だけなのは恥ずかしい、早く支持声明すべきだ」という訴えはまるで見られない。
この沈黙ぶりは、控えめに言っても非常に奇妙ではないだろうか……