プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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障害者グループホーム(GH)開設が地元住民の反対で断念-ヒルズ・オフィス街にGHを!

 横浜市金沢区で、民家を改装した障害者グループホーム(GH)を開設するプランがあった。

 しかしそれが、近隣住民の反対を受けて断念されていたことが地元・神奈川新聞で報道された。

 地元町内会の要望で開催されたGH運営会社の説明会では

「なぜ住民感情に配慮しないのか」

「お金があれば引っ越したい」

「町内会の全員が賛成しない限り、やらせない」

「(入居者が)視界に入る」

 などとの発言が相次ぎ、さながら糾弾会状態だったという。

 ちなみにこのGHの規模は、入所する知的障害者6人及びスタッフである。

(⇒ 神奈川新聞 2024年1月21日記事:障害者GH、横浜・金沢区で開設断念 住民反対「お金あれば引っ越したい」)

 さて、今回の件を一言で要約すれば、「世の中こんなもん」だろう。

 およそまともな人間であれば表向き、障害者とりわけ知的障害者が近くにいてほしくないなんて、絶対に言わない。

 しかしそれは表向きであって、一皮むけば「視界に入るのも嫌」「近くにいたら不安」なのだ。

 もちろん後者の一皮むいたときの感覚が本音で、世間のそこらの人間はみんなそんなもんと言っても過言ではあるまい。

 別にこの横浜市金沢区の近隣住民らが、特に度し難く鼻持ちならない差別主義者だというわけではなく――

 障害者施設というのが本音では迷惑施設・危険施設であることは、日本国民全体の共通認識であると言ってもオーバーではないだろう。

 また、個人的にこういう話で思い出すのは、広瀬隆 氏の名タイトル本『東京に原発を!』(1981年)という本である。

 広瀬氏は著名でキャリアの長い反原発論者、そして陰謀論研究者。

 そしてこの本のタイトルをもじって言えば、

六本木ヒルズに障害者グループホームを!』

『テレビ局横に障害者GHを!』

『新聞社の向かいに障害者GHを!』

『高級ホテルの隣に障害者GHを!』

『ディズニーランドの横に障害者GHを!』
 
 などというのを、あなたも考え付くはずである。

 広瀬氏が東京に原発を!というタイトルを付けたのは、「そんなに原発が安全なんなら東京に作ればいいじゃないか、でもできないんだろ、しないんだろ」という強烈な皮肉によるだろう。

 しかし私が以上のような『*****の横に障害者グループホームを!』と考えついたとき、意図するものは皮肉ではない。

 世の中には障害者との共生を謳わない企業はなく、ましてや障害者を遠ざけたり排除したりするのを公言する企業は一つもない。

 それなら、全国に××ヒルズと名付けられた高級ビル(こういう言い方があるのか知らないが)の中や近所に、障害者グループホームをわざわざ誘致する会社――主に不動産会社となろうか――があってもいいではないかと思うのである。

 それをやったら、まさに障害者との共生をホンマに考え推進している企業だと、絶対に評価され信じてもらえるはずなのだ。


 いかがだろうか、高級ビルに障害者グループホームが入居するというのは。

 リゾート施設の近辺に、障害者グループホームが設置されるというのは。

 あるいはオフィス街の真ん中に、障害者グループホームを設置するというのは。
 
 いま挙げた例ならば、近くに「住民」はそんなにいないはずなので、できないことはなさそうな気がする。

 確かに資金的には難しいだろうが、そういうときこそ国の補助があればいいのではないか。

 もし「そんなのが近くに来たら困る」なんて難色を示したり反対を露にする企業というのがもしあれば、むろんボロクソに叩かれるはずだ。

 オフィス街の真ん中に障害者グループホームを開設するというのは、東京に原発を作ることよりは現実性が高そうに思われるのだが……