7月13日、東京地裁は、東日本大震災による福島第一原発事故について東電株主が起こした株主代表訴訟において――
旧経営陣5人のうち4人に対し、計13兆3210億円を東電に賠償するよう命じる判決を出した。
単純に言って一人当たり3兆3,300億円以上の賠償義務……
これは日本裁判史上空前の賠償額である。
さて、この裁判について細かいことを言うのはよそう。
この裁判は、最近皆さんが感じていることをそのまま表現した一つの「教訓」を示している。
それは、
「社会インフラを支える仕事には就くな。そんなリスクを負ってはならない」
という教訓である。
これはつい先日のau(KDDI)大規模障害でも、連日報じられているかのような駅員たちの受難でも、とにかくニュースさえ見ていれば誰でも感得する教訓だろう。
そんな社会インフラを支える仕事をしていれば、
特に(技術系ならまだしも)利用者・消費者に直に接する仕事などしていると、
恐ろしいリスクを負う日々が毎日続くのである。
そして経営者・経営陣になったらなったで、こんな払えるわけもない賠償金を課される(まだ地裁段階とはいえ)リスクがあるのである。
皆さんは、わが子が「駅員さんになりたい、車掌さんになりたい」などと言い出したら、何を能天気なことを言っているのかと一喝するようでなければならない。
わが子が誰でも知ってる「一流」会社に入ったから喜んで赤飯を炊くのではなく、それが人と接する仕事であれば、毎日子どもの写真に陰膳を据えるようでなくてはならない。
もちろん自分が社会的インフラ企業の経営陣になりでもすれば、D&O保険(会社役員賠償責任保険)に入るのは当然のこと、消費などせずカネを溜め込んでおかねばならない。
何がいつどう起こって、巨額の賠償を請求されるかもしれないからである。
あなたはわが子が将来ユーチューバーになりたいと言い出したら、それを全力応援すべきだろう。
早いうちからカネを与えて自分で投資を経験させ、ただカネを動かすだけで生活費を得る純粋投資家になれるよう金融教育すべきだろう。
あなたはもう、当然わかっているはずなのだ――
いわゆる「普通の仕事」というのがもはや下層階級の下級国民のやることであり、そんな仕事に就こうものなら毎日がリスクフルでストレスフルなものになるだろうことは……