プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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川崎市トンネル通り魔殺人事件「切り裂きジャックに憧れるバカ」と「悪の魅力」

 2006年9月に発生した神奈川県川崎市宮前区での「トンネル内殺人事件」で――

 別の事件(殺人未遂)で栃木県の刑務所に服役中の男(現在37歳。事件当時は26歳)が、昨年1月に「自分から神奈川県警にハガキを出して、事件について話したい」と自白類似のことをした。

 その裏付け捜査で容疑が固まり、警察は10月10日にもこの男を逮捕するそうだ。

 

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 何と言っても注目なのは、この男が「切り裂きジャック事件に憧れた」と言っている点である。

 これに比べれば「女の人から虐待された経験があり、女の人を刺したい衝動があった」などというのは“ベタな心境”だと言ってよかろう。

 切り裂きジャック事件――

 1888年(憶えやすい年号だ)にイギリス・ロンドンで起こったそれは確かに、推理小説や犯罪・犯罪史に興味がある人間を今に至るまで魅惑してやまない事件である。

 ジャックは売春婦(それもけっこう齢の行った)4人を惨殺し、特に最後の一人は腸を引き出され乳房や陰部を切り取られるという、惨すぎる殺され方をしている。

 その正体が誰かを巡り、これまで何十冊・何百冊の本が書かれたかわからない。

 世界犯罪史でこれほど人の関心を集める事件は、1963年のケネディ大統領暗殺事件くらいのものだ。

 そう考えると、もともと女性を刺したい衝動があった人間が切り裂きジャック事件に憧れるというのは、これもまた至極“ベタな心境”なのかもしれない。


 さて、昨年7月に神奈川県相模原市で障害者施設を襲撃し大量殺人を犯した植松聖は、あの「ヒトラーの思想が自分に降りてきた」と言っていた。

 これもまた大量殺人犯にはよくあることである。

tairanaritoshi-2.hatenablog.com


 そして今度はグッと時代を遡り、切り裂きジャックへの憧れである。

 相変わらず「悪の魅力」というものは、時代を超えて影響力があるものだ。

 たぶんこういう衝動や魅力に抗う一番の特効薬は、「我々はそれぞれ無関係な存在である」と悟ることだろう。

 いくら自分が女性に虐待されてこようが、他の女性はその虐待女性とは何の関係もない個体である。何一つ関係はないのである。

 むろん自分と切り裂きジャックヒトラーなんかが、何の関係もあるわけないのだ。

 他人や他人のやったことに憧れるのは無駄である。

 しょせん別の人間であり、怪しげな超自然的な「繋がり」なんて何もない。

 それが耐えられないというならば、それはもう自殺するしかないだろう。(私は自殺が悪だとは必ずしも思わない。) 


 自分が誰かを殺したくてたまらないならば、さっさと自分を殺すべきである。 

 死んでしまえば後には何もないのだから、「障害者がいたら世の中のためにならない」とか「自分を虐待した女性というものに復讐したい」とか思い煩うこともなかろう。

 これからも「悪の魅力」に惹かれて(マネして)悪に突き進むバカは絶えることがないだろうが、結局そういう人たちが死後の世界で「オレって、少なくとも一部の同類には崇拝されたり憧れたりされてるなぁ」と満悦することはないわけだ。

 まさにザマを見ろ、である。

 

【補足】

 10月10日、この男・鈴木洋一(37歳。服役中)が逮捕された。

www.sankei.com


 自分からハガキを出して犯行を打ち明けたのは、「脳梗塞を患い気弱になったから」だとのこと。

 もっと早くから脳梗塞になって死んでいればと、被害者のために悔やまれてならない。

 そうなっていれば「若くして不幸にも早死にした」と悼んでくれる人も、少しはいたろうに……

(もっとも、それではニュースには載らないが)