プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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「東京地獄五輪」カウントダウン-見どころは競技にあらず

 史上最も歓迎されざるオリンピック、東京五輪2020(2021年だが)の開幕まであとわずかである。

 そしてこのオリンピック、ナチスドイツで行われた1936年ベルリンオリンピックを凌ぐ、「呪われた五輪」になりそうな予感がプンプンしている。

 とにもかくにも、あの滝川クリステルの「お・も・て・な・し」から開幕直前の今日まで、不祥事とスキャンダルで埋め尽くされていると言っても過言ではない。

 もちろん、新型コロナのパンデミックは天災であり不運としか言いようがないにしても――

 それ以外のほぼ全ては人災であって、開閉幕式の音楽を担当する小山田圭吾の学生時代の障害者壮絶イジメの発覚(再発見と言った方がいいか)と辞任劇は、その最新最悪のものである。

 しかも東京五輪最大最高ランクのスポンサーであるトヨタは、とうとう国内では五輪関連のCMを流さないことにした。

 一言で言えば、見切りを付けられたのだ、五輪は。

 五輪のスポンサードをアピールするのは、企業イメージを悪化させるとハッキリ判断されてしまった。


 そして最後に、この日本の酷暑である。

 日本の、この季節の夏――

 その暑さと湿度は殺人的である。

 熱中症警報は毎日のように出るだろうし、実際に毎日のように熱中症で死者が出るだろう。

 日本の夏の暑さの不快度は、東南アジア人やインド人でさえ苦痛の声を上げると言われているのは有名だ。


 私が選手だったら、こんな暑さの中で走らされるのはゴメンだと思う。

 熱中症警報が出ている中、地元の日本人でさえ耐えがたい暑苦しさの中、最高レベルのコンディションで走れる自信は、私にはない。

 というか日本に来た時点で、この不快な暑さに面食らってしまいそうだ。

 これはもはや、死のレースではないか……

 特に寒い国から来た選手なんて、競技中に死人が出ても特に不思議とは思えないのだが。 

 やはり選手としては(言ってもしょうがないことではあるが)、もうちょっと涼しい季節に涼しい国でやるべきじゃないかと、まともな精神を持っていれば思うはずである。


 もうこのオリンピックには、「東京地獄五輪」とでも名付けた方がいいかもしれない。

 男塾かプロレス技か――元オリンピアンであるプロレスラー本田多聞の得意技は「回転地獄五輪」である――、というようなネーミングだが、本当に選手らにとっては地獄のようなシチュエーションとコンディションではあるまいか。

(だいたい、ホスト国の国民の過半数が五輪開催自体を歓迎してない中で、競技すること自体が地獄めいている。)

 

 こうなるともう、東京五輪の見どころは、競技などではない。

 それは、次の三つになるだろう。

(1) 本当にデルタ株など、コロナ感染爆発のきっかけになるか

(2) 自民党政権にとって、吉と出るか凶と出るか

(3) 日本が金メダルを多く取れば、日本国民は手のひら返しするか


 まず(1)だが、これは確かに「終わってみなくちゃわからない」。

 しかし五輪終了後にちょっとでも感染が増加傾向になってしまえば、それが五輪のせいにされることは目に見えている。

 たとえ(2)で日本が金メダルラッシュだったとしても、そんなお祭り気分は急速にしぼむものである。

 だから五輪推進派の抱えるリスクは、誠に大きなものがあると言わねばならない。


 次に(2)。私はこれは、自民党にとって凶と出ると思う。

 まさに自民党にとって、東京地獄五輪になる可能性濃厚だと思う。

 どうせ次の衆院選(10月頃)まで、金メダル効果や池江璃花子効果はもたないと思う。

 それにしても、根本的に思うのだが――

 政権の命運がオリンピックという大運動会にかかっているなどという政権は、どんな小学校政権だろうと言ってしまうのは言い過ぎだろうか。

 国の政権がイベント頼みになるなんて、これこそ「日本の劣化」の最たるものではあるまいか。


 最後に(3)。私はこれは、手のひら返しする可能性は大ありだと思っている。

 終わってみれば「やっぱりやってよかった」と思う国民は、相当数いるものだと思う。

 ほんの数人くらいのアスリートの活躍で、今まで五輪反対だった考えがコロッと変わるというのは、あまりにも頭が軽いと言うべきだろうが……

 しかし世の中には、そういう事象が現実に溢れかえっているのを、皆さんはご承知のことだろう。

 そう、「自分の意見は他人に意見を聞いて決める。または他人の雰囲気を(コメント欄を)見て決める」人というのは、ネット時代になって却って増えているような気がする。


 さあ、この三つの見どころが、どんな結末を迎えるか…… 

 そういう意味では、今回の東京五輪とは、史上最も興味深く忘れがたい大会になりそうである。