東京オリパラ2020組織委員会の元理事で、元電通の大物であった高橋治之 氏(78歳)――
彼が紳士服大手のAOKIホールディングスから約5,100万円の賄賂を受け取ったとして逮捕された事件だが、
別にこんなことを聞いても、多くの人は「ああ、やっぱりそういうことがあるよね」と思っただろう。
オリンピックにはこういうことがある、というのは“常識”である。
まともな社会人であれば、こんなことがあって当然だと思っている。
そしてこういうのは、日本に限った話でもないと「わかって」いる。
もう今の日本人は、以下のことに(以下のようなニュースに)慣れきっているのだ。
(1) 一般庶民とは別世界の、上流階級・金満階級というのが普通にいること
(2) 日本は特段、経済的にも道徳的にも何につけても先進国ではないこと
(3) 汚職も癒着も忖度も中抜きも、ありふれたものであること。
むしろそれが日本の「国体」みたいなものだということ
(1)については、言うまでもない。
ナプキンも買えない「生理の貧困」女性がたくさんいると報じられる一方、同じメディアで金持ちやセレブが何千万円を使ったとか報じられるのは、もはや今の日本の日常である。
それは普通のことであって、そんなのはおかしい社会じゃないかと言う人の方がヘンな目で見られるくらいなものだ。
そして(2)と(3)については、かつて「汚職がはびこる国」と言えば南米やアジア諸国・アフリカのことを思い浮かべるのが定番だったが、だんだん日本もそれに近くなっていると感じる人は少なくないだろう。
さすがに、警官が賄賂を取って罪を見逃す――
とまでには行っていないにしても、少なくとも社会の上層の特権金満階級においては、汚職がほとんど制度化されている(正当な道徳のようになっている)気もするではないか。
要するに日本は、いつしか発展途上国みたいな国になっている。
他の発展途上国との違いと言えば、今回の当事者は賄賂を受けた側が78歳、送った側が83歳(AOKIホールディングス元会長)という超高齢である点ぐらいだろうか(笑)
次に日本は、札幌冬季五輪というスポーツイベント誘致を狙っているのだが……
そのオリンピックでもまた汚職・癒着・忖度・中抜きが行われることは、日本国民みんながわかっている。
しかしそれでもオリンピックは(おそらく)行われ、また汚職・癒着・忖度・中抜きが行われる。
それが日常であるということが、発展途上国の発展途上国たるゆえんなのだ――