3月29日、中国外務省は会見において、日本の2024年度防衛費予算が過去最高額(約8兆円)に達したことを非難した。
●日本は防衛予算を年々増額し、軍事発展の突破口を模索してきた
●日本は近隣諸国の安全保障上の懸念を尊重すべきだ
●日本は信頼をこれ以上失わないためにも、平和的な発展の道を堅持することを強く求める
と強調したそうである。
これを聞いた日本人の9割は、「お前が言うな」「この国だけには言われたくない」と脊髄反射したはずだ。
そして私は、思うのである――
他国が軍事費を増やしたから公の場で「懸念を表明する」のではなく「非難・批判する」というのは、はたして普通のことなのだろうか、それとも異常なことなのか、と。
これは私は詳しく知らないし、時間をかけて調べようという気にもならないのであるが……
たとえば中国は、インドの軍事費増額を(軍事行動・軍事実験ではない)批判することが普通だろうか。
いや、アメリカの軍事費増額を非難するのが通例だろうか。
フィリピンやベトナムの軍事費増額を、はたして批判しているだろうか。
私が知る限り、そんなことはしていないはずだ。
この「軍事予算を増やしただけで非難・批判する」というのは、どうも中国にとっては、日本に対するときだけの特別な対応ではないかと思う。
そしてこれは裏を返せば、「中国が最も恐れる国」とはいまだ日本である、ということを示しているようにも思われる。
これは確かに、わからない対応ではない。
なにしろ今のところ、「中国本土に最後に侵入・征服した異民族」とは日本人のことである。
これほど強大化した今の中国人にとっても現代日本とは、かつての中国人にとっての北方騎馬民族征服者(モンゴル人など)と同程度の脅威に思えていたとして、そんなに不思議ではないだろう。
第2次大戦に敗北するまで、日本は北京も上海も武漢も占領支配していた「中国本土の征服者」だった。
いくら今の日本が平和憲法(本当は一切の軍事力を持ってはいけない)を掲げていると言っても、そんなのは目くらましで実はまた中国侵攻を――とまではいかなくても中国への挑戦・対決を――目指しているのだと脅威・恐怖・警戒感を持つことは、むしろ自然だと言ってよい。
現代日本人には、全然ピンと来ない話ではあるが……
中国人は今でも軍事的に日本を最も恐れているというのは、そんなに的外れな推測ではないと思うのだ。