中国とキューバが、キューバにおいて中国の軍事訓練基地を設置するという交渉を進めているそうだ。
(⇒ ウォールストリートジャーナル日本版 2023年6月20日記事:中国、キューバに軍事訓練施設を計画 米国の「裏庭」に中国軍駐留の恐れ)
もしこれが本当なら(本当だろうが)、これは1962年から2度目の「キューバ危機」とも言える。
前回のキューバ危機がソ連版なら、今回は中国版とも言えようか。
これは言うまでもなく、広末涼子不倫事件などとは比較にならぬ大事件である。
しかし言うまでもなく、世間の関心は広末涼子不倫事件の方がはるかに高いだろう(笑)
それはともかく、さすがに今回の中国は核ミサイルを持ち込むことまではしないだろう。
いや、本当にそうだろうか?
最初から持ち込むまではしないまでも、いったん在キューバ軍事基地ができてしまえば、中国の核ミサイルがそこへ持ち込まれるハードルは劇的に低くなる。
実際問題もしそうなったら、アメリカはどんな理由でその配備を止めさせることができるだろう。
前回キューバ危機のように、核戦争も辞さぬ強硬な態度を取ることをするだろうか。
私も皆さんもそう思うはずだが、今回のキューバ危機ではアメリカはそんな断固たる態度を取れないのではないか。
何だかんだ言って、中国のキューバ核配備を認める――スルーする――ことになるのではないか。
そう、ちょうどニクソン訪中により、台湾の国民党政府(国府政府)でなく本土の共産党政府を中国政党政府として認めた、あのときのように……
それにつけても思うのは、第二次世界大戦とその後3年間におけるアメリカの「大失敗」である。
何が大失敗だったかと言って、もちろん中国大陸を共産党勢力に「失陥」させられたことだ。
これは、ナチスドイツに勝ったことは別として、大日本帝国に勝ったことを完全帳消しにするほどの巨大な失敗だったと私は思う。
私は当時のアメリカの雰囲気は知らないが、もし当時のアメリカ人だったら「なんじゃこりゃ」と怒ったと思う。
アメリカにとってはこれのせいで、中国大陸と朝鮮半島の北半分が共産化してしまい――
ベトナム戦争はアメリカに精神的な大ダメージを負わせた敗戦となったが、それでベトナムの北半分だけでなくベトナム全土も共産化した。
それはひとえに、中国本土という巨大大陸が共産勢力のものになったことに起因する。
これがなければベトナム戦争もなく、今回の新キューバ危機なんてものもなかった。
これが歴史的失敗、アメリカにとって史上最大の失敗でなくて何だろう。
もちろん第二次大戦後の中国における国共内戦で、アメリカが国府側に立って参戦するなんてことは夢物語だったかもしれない。
「援助」することすら、ためらわれたのかもしれない。
当時の国府というのは、(未来の南ベトナム政府のように)救いようもなく腐敗した政権だったのかもしれない。
しかし、今から思えば――
中国大陸をまるごと失うくらいなら、相当のリスクは負うべきだったのではないか。
これでは、何のために日本に勝ったかわからないではないか。
それにしても今回の新キューバ危機に、アメリカがどう対応するのかは見ものである。
しかし私には、今回は危機にはならないような気も非常にする。
結局のところ今のアメリカは、中国の核ミサイルのキューバ搬入を「戦争覚悟で」阻止する度胸がないように思えるのである。
皆さんははたして、どうお考えだろうか……