中国、キューバ、そして中国以外のアジア、欧米のどこかにおいて、アメリカの駐在外交官ら130人以上が(2016年以来)謎の脳損傷を被っている、との話をニューヨークタイムズが伝えた。
(⇒ msnニュース 2021年5月13日記事:謎の脳損傷、米外交官ら130人以上=欧州、アジアでも確認―NYタイムズ)
この「アメリカ外交官・大使館への(おそらくは)電磁波攻撃」というのは、今に始まったことではない。
確か1980年代には既にこういう話があり、もちろんながら、その「犯人」はソ連と目されていた。
(キューバもそうである。)
さて、こういう話を陰謀説の中に入れていいのかはわからないが……
もし陰謀説だとすれば、かなり現実味のありそうな――と多くの人が感じる――部類に属する。
その下手人がソ連やそのコピーみたいな今のロシア、さらには中国だと言われると、なるほどそんなこともやっていそうだと自然に納得しそうである。
だがこれが真にロシア・中国・キューバの電磁波攻撃だとすると、何を目的にそういうことをしているのだろうか。
電磁波兵器の実験だとすると、今もなお1980年代と同じく、大使館という(広いのは広いが)固定・閉鎖された目標にしか効果がないのだろうか。
こういう話が出てから半世紀くらい経てば、「電磁波ガン」みたいに特定の目標個人へ指向・集約して電磁波を撃ち出し、脳を壊してしまうこともできそうなものだが……
そして、外交官や大使館員の脳を壊して結果的に(証拠が残らない形で)殺害できるとして――
彼ら彼女らを殺害して、何になるのだろうか。
アメリカ人がその国に赴任するのを恐れさせ、クズやノータリンばかりを赴任させ、それによって外交的に有利に立とうという魂胆なのか。
ちょっとそれは、迂遠すぎる策だと思うのだが……
加えて不思議なのは、この「大使館への電磁波攻撃」というのが、昔からまるで旧東側・共産圏諸国の専売特許みたいになっていることだ。
旧共産圏・現共産圏諸国って、この分野だけではアメリカより圧倒的に技術的優位に立っているのだろうか。
アメリカは、似たような技術で敵の大使館員に報復攻撃していないのだろうか。
あるいは、攻撃の証拠がどうしてもつかめず手も足も出ないのだろうか。
それもかなり、不自然なことに思えるのだが……
そしてまた、電磁波攻撃の実験台にするのなら、わざわざリスクの高そうなアメリカを選ばなくても――
アフリカのどこかの国の大使館員を選ぶ方が、はるかに安心して攻撃できそうでもあるではないか。
しかしそうであったとしても、やっぱり「ロシア・中国」がやっているかもしれない、となると「それもあり得るかも」と感じるのが平均的な日本人である。
はたして、日本・韓国・フランス・イギリスなどの大使館員も電磁波攻撃のターゲットになっているのかどうか……
彼らのうちで脳損傷を疑われるケースを調査・集計してみれば、どんな推測ができるのだろうか。