プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

社会、ニュース、歴史、その他について日々思うことを書いていきます。【プロレス・格闘技編】はリンクからどうぞ。

アメリカ「中国気球」撃墜事件-なぜ気球がバレないと思うのか

 2月4日、アメリカは本土上空に侵入していた中国の気球を、大西洋上に出てから撃墜した。
 
 この気球はまず1月28日にアラスカ州アリューシャン列島北部の防空識別圏に侵入、

 30日にはカナダ上空、31日にアメリカ北西部アイダホ州上空、

 2月1日にモンタナ州、次いでカンザス州・ノースカロライナ州で目撃され、

 計1週間ほど米本土上空に滞在したことになる。


 さて、米本土上空を飛んだ他国の気球と言えば、太平洋戦争中の「風船爆弾」である。

 そして「他国の領空を侵犯した偵察機が撃墜される」と言えば、1960年に起きた天下に名高い「U2機撃墜事件」である。

 (このときは、アメリカのU2機がソ連上空を侵犯していた。)


 しかし米本土上空の気球と言えば、UFOファンならば必ずや「ロズウェル事件」「マンテル大尉事件」を思い起こすに違いない。

 思えば、ロズウェルに墜落した「円盤の残骸」の正体は、気球とされたものだった。

 マンテル大尉が追いかけた末に自分が墜落してしまった「金属製に見える、光を反射する物体」の正体もまた、気球とされている。

 ロズウェル事件の「プロジェクト・モーグル」、マンテル大尉事件の「スカイフック計画」の2つの気球プロジェクト名は、UFOファンの頭の中にこびりついて離れないものだ。

 さらに付け加えれば、今回の中国気球が通過したモンタナ州の「マルムストローム空軍基地」というのもまた、1967年に「UFOによって核ミサイル10基が全て機能停止」させられた事件で、UFO史に名を刻んでいる。

 つくづく気球とUFOというのは、この21世紀になっても切っても切れない縁があるようである。


 それはともかくとして、皆さん、今回の事件をどう思うだろうか。
 
 中国政府は当然のごとく

「あれは民間の気象観測用、不可抗力でアメリカに流れていった」

 と主張している。

 そのくせアメリカが撃墜すれば、「強烈な不満と抗議」を発表する。

 まあこれは、そんなもんだろうと受け止めておけばいいとして……

 
 あのね皆さん、気球ですよ気球。

 よその国に、それも天下のアメリカ上空に気球を侵入させて、バレないで済むと思います?

 気づかれないと本気で思います?

 そんなこと提案されたら、一笑に付しゃしませんか?


 いや、私も、これが超高性能偵察機とかであれば、バレないという自信を持つのはわかるのである。

 あのU2機撃墜事件は、まさにそういう自信があって起こったことなのだろうと納得できる。

 だが、気球――

 軍事専門家やミリオタの人には別の意見があるかもしれないが、素人として率直に直感的に思うのは、

 アメリカ上空に気球なんか飛ばしてバレないわけがない、ということなのである。

 たぶんこのニュースを聞いた人のほとんど全員が、そう直感するのではないか。

 もし私が中国軍の上層部なら、こんな作戦は即座に却下する。

 いやむしろ、「なに考えてんだ、遊びじゃないぞ」と提案者を叱りつけそうに思う。

 しかし現に、軍だか共産党だか、とにかく中国の上層部は、こんな作戦を認可し実行に移している。

 これも率直に思うのだが、バカなんじゃなかろうか――

 私はむしろ今回の件、中国軍の有能さというものに相当大きな疑問符をつけることだと思う。

 例のプロジェクト・モーグルもスカイフック計画も、もちろんアメリカ軍がアメリカ本土の上空で行った。

 当たり前である。

 U2機ならともかく、よりによって気球を他国へ――それも世界で最も防空態勢が固いに決まっている国へ――送り込むなんて、まともな知性・感性ならとてもできることではない。

 そんなことをやるのは、細菌を積んでばらまこうとするときだけである。

 いや、中国軍って、本当に大丈夫なのだろうか……