カタルーニャ州という名は知らなくても、バルセロナは聞いたことがある日本人は非常に多いだろう。(むろん、かつてバルセロナオリンピックがあったからだ。)
カタルーニャ州とは、そのバルセロナが位置するスペイン最東端の州である。
スペイン情勢を常にウォッチしている日本人は少ないだろうし、私だってそんなことはしていない。
だから10月1日にカタルーニャ州でスペインからの独立を問う住民投票が実施され(独立派が大勝し)、10月3日には州首相のプッチダモン氏がメディアのインタビューに応じて「今週中か来週初めには独立宣言する」なんて言ったことは――
何かまるで、ものすごく急転直下の展開に感じるところである。
「いつの間にそんなになっちゃったの?」と思うところである。
そしてつくづく強く思うのは――
やはり世の中は「結合し、繋がり合う」のではなく、どんどんバラバラになる方向に進んでいるということである。
これはおそらく欧州だけの話ではなく、いずれアジアや日本にさえも広まっていく趨勢だと思う。
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しかし当然すぎることではあるが、スペイン中央政府はこの動きを激しく非難し、実力行使にも出ている。
国王フェリペ6世は「住民投票を主導した人たちは法の埒外に身を置いた」と言い、
(これって、「法律の保護を受けられなくなった(=殺しても犯罪にならない)」と言っているようにも取れる。)
「カタルーニャ州の指導者らは国家の権限を軽視した、民主主義の原則である法の支配に違反した」とも言っている。
またソイド内務大臣は「カタルーニャ政府が住民を奈落の底に突き落とし、街中での反乱を呼びかけているのを毎日のように見ている」、「中央政府はこういう嫌がらせ行為をやめさせるのに必要なあらゆる措置を取る」と述べた。
住民投票が民主主義に反する大罪だというのは、住民投票に負けた側が常に言う言葉である。
また、自国からの独立運動がとにかく悪で・憲法違反で・許されない行為だということも、その国の政府と当該独立運動地域に属さない国民から、常に言われることである。
しかしむろん、独立運動が悪だというのは全然説得力がない。
「独立したい」と人が願うのが悪だなんて、誰が本当に心から思えるだろうか。
だったら今まで独立してきた国や地域や民族は、全て悪い人たちで法に反するアウトローとして非難されるべきだろうか。
いやはや、そんなバカな話もないだろう。
そしてそれは、この日本についても言えることである。
日本で一番独立する可能性の高い地と言えば、むろん沖縄を置いて他にない。
実際、「沖縄独立論」というのは比較的ネットとかでもよく目にする言葉である。
では沖縄人が住民投票をやって本当に日本からの独立を選んだら、他の日本人はそれを阻止したり非難したりすべきだろうか。
私はそうは思わない。
沖縄人の過半数が本当に日本から独立したいと願うのなら、本当にすればいいのである。
「もう日本本土とは一緒にやっていきたくない」というのなら、そうするしか(そうなるしか)仕方ないではないか?
これはまったく、「卓球部を辞める」とか「会社を辞める」とかいうのと完全に同じ問題でありレベルである。
「そんなことと国からの独立を同列にするな」と言われそうだが、ではどうして同列でないのだろう。
私にはこれは、別に議論することもなく普通に同列だと思えるのだが。
もちろん沖縄が独立するのは、日本にとっては大問題である。
シーレーン(海上貿易線)は不安定になるだろうし、独立沖縄国が中国と同盟を結びでもしたら大変でもあるだろう。
しかしそれは、沖縄人が日本と一緒にやっていきたくない以上、仕方のないことである。
そうなったらそうなったで対応を考えなければならないという問題が出てくる「だけ」である。
一方の沖縄人も、独立することによるリスクは全て自分で抱え込まなければならない。
たとえば中国と同盟したら、軍の駐留や完全併合にまで至ることになるかもしれない。
そうなったら沖縄人は植民地人として差別・虐待・弾圧を受けるかもしれない。
しかしそれも、(中国への道義的非難は別として)自分で選んだ結果なのだから仕方ないのではないか?
アフリカ諸国が次々と植民地でなくなり独立し、
ソ連が解体して多くの国に分かれ、ユーゴスラビアも同じ道を辿り、
エリトリアはエチオピアから独立し、南スーダンはスーダンから分かれ、
イギリスはEUから離脱し、今またスペインが分裂しようとしている。
最近の世界史はどう見ても、統合より分裂の方へ進んでいる。
それは年ごとの国の数を数えてみれば――毎年世界地図を買って見ていれば、バカでも気づくことである。
その潮流に日本が影響されないなんて、まずはあり得ないことだろう。
沖縄は、独立したければすればよい。
これは突き放した皮肉ではなく、本当にそう思う。
もちろん中国もアメリカも、そこからの独立を願う人たちが多いのなら独立すればいいのだし、そうなるべきだとさえ思う。
国も社会もバラバラになっていくのは、たぶん止められない時代の流れである。
そして人類は最終的に、本当に一人一人の個人単位に分解するだろう。
そうなったとき人間は、「付き合いたい人間とだけ付き合い、そうでない人間とは接触しないでいい」というユートピアに到達する。
これがいかにユートピアならぬディストピア(悪夢郷)に聞こえようとも、結局それが人間の真なる願いだからである。
(あなたも本当は、そう願っているでしょう?)