プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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バイデン大統領、日本の常任理事国入り支持&台湾防衛明言

 5月23日、来日したアメリカのバイデン大統領は、


●日本の国連常任理事国入りを支持する

●台湾防衛(台湾有事の場合には軍事介入する)は我々の約束である


 と明言した。

 ここまで踏み込んだ、かつ大胆な発言をしようとは、大方の人には予想外だったはずだ。

 このうち日本の常任理事国入りについては、うがった見方をすればアメリカの国益に叶うことである。

 端的に言って、それはアメリカの味方票が一票増えることだからだ。
 
 そしてまた皮肉な見方をすれば、日本が経済的・人口的な落日期に入った「今だからこそ」の支持なのかもしれない。

 これが日本が経済超大国として絶頂期にあった1980年代なら、アメリカ大統領もそんな支持はしなかったと思う。

 今のアメリカの主敵は一に中国、二にロシアであって、21世紀に入ってまだどこの国とも大規模戦争をしていない(つまり未知数の相手の)中国と対峙するには、もちろん(もう子分国であることが確定的な)日本の協力と利用がほとんど必須なのである。

 そして台湾防衛についても、何だかんだ言ってもロシアが侵攻中のウクライナへ軍事介入できないで「防衛の約束を守らない国」との悪評が立っているアメリカにとっては――

 それはもう質問されれば「軍事力を使ってでも防衛する」とでも答えておかなくては、米の威信が立たないというものだ。

 
 もっとも、ホワイトハウスの報道官ら当局者は、

●今回のバイデン発言は「一つの中国」(つまり、台湾独立を支持しない)政策を変更しない、と繰り返し言及したもの

●軍事介入とは、台湾に軍事物資を提供することを意味しており、アメリカ軍を派遣するという意味ではない

 などと、「火消し」に回っているとされる。

 よってやはりアメリカ政府全体の意思が、台湾を武力をもってしても防衛するという風に固まっているわけではないようだ。

 ということは、日本の常任理事国入り支持というのも、眉に唾を付けて聞いておくのがいいのかもしれない。

 だいたい、もし日本が常任理事国入りしたら、いよいよ「国連軍」の一員として自衛隊を戦地に送り出さなくてはならない。

 湾岸戦争の時のように「カネだけ出して兵は出さない」常任理事国なんて、その名に値しないというのは日本国民でさえそう思うだろう。

 だから結局、今回の常任理事国入りの話も「なかったこと」として風化するのではないか、というのが今の感想である。